キミの写真
……俺の中で、いつ彼女はそんなに大きな存在になったのだろう。
たくさんいる生徒から、かけがえのない一人になったのは、いつだったろう。
答えを探すように、俺の受け持つクラスへと目を走らせる。
感極まり、涙している生徒がたくさんいる。生意気だった奴らは等しく今日を悲しみ、涙を流している。
その中からひかるを捜す。見慣れた背格好、中性的なその童顔を捜す。
感受性の高いアイツのことだ、きっと人一倍の涙を流していることだろう。
……そう、そう思って、ひかるを見つけ出す。
そしてそこにいた彼女は、しっかりと前を向いていた。潤ませた瞳からは、しかし涙は零れていなかった。
「―――――」
――あ、と思い出す。彼女は、いつだってそうだった。
揺るがない決意で、彼女はいつだって戦っていた。
今は卒業という、目には見えない悲しみと。
そして、俺と付き合っている時は――俺の教師という、立場と。
不安じゃない訳ないだろう、恐くない訳ないだろう……!
それを、俺はあんな、心ない一言で……!