キミの写真
「卒業生代表、上之宮玲菜」
光を放ち続ける上之宮は、堂々と答辞を読み終えた。体育館には、万雷の如く拍手が打ち鳴らされる。
役目を果たした彼女は、一礼をすると降壇した。卒業生は勿論の事、在校生、そして教師でさえも瞳を潤ませ、彼女の答辞に賛美の拍手を贈る。
正直、彼女が羨ましかった。芯の強い彼女が羨ましかった。そしてなによりも―――
彼女は美しかった。
「校歌斉唱。卒業生、在校生起立」
教頭の指示に従い生徒が立ち上がる。卒業生にとっては、最後の校歌。感慨深い物があるのだろう。卒業式の校歌程、気持ちの籠もった校歌は無い。
「―――――♪」
旋律に合わせて皆が歌い始める。大合唱。
「―――――♪」
思えばこの一年、沢山の出来事があった。文化祭、体育祭、大学入試。そして、誰しもが最後の行事を精一杯楽しんだ。
「―――――♪」
俺自身に関しても、大きな出会いがあった。
彼女―――曽根川ひかるとの出会い。
「―――――♪」
歯の浮く様な、クサい台詞。俺は彼女に告白をした。今思い返すと、よくやったな、と思う。生徒に告白だなんて、まるでテレビドラマだ。