キミの写真
「上之宮」
名前を呼ぶことで、彼女の言葉を遮る。自分でも驚くくらい冷静な声。
返すべき答は、既に見つけていた。
「……俺は、ひかるが好きだ」
告げた瞬間、上之宮の表情が固く強張る。泣き出す一歩手前のようなそんな顔。
……それでも、上之宮は涙を流すことはない。
「生徒とか、そんなの関係なく、一人の女の子として好きなんだ」
今でも、その気持ちは変わらない。
その気持ちに代わりなどいない。ひかるの代わりなんて、いない。
上之宮は一瞬だけ俯き、口を開きかける。けれど開きかけた口から言葉は出ず、彼女は小さく首を振った。
吹っ切るように、小さく何度も。
「……あ、はは。やっぱそうか」
明るく取り繕った声で、彼女は言う。告げ切れなかった想いを悔やむように、彼女は笑う。
目は逸らさない。俺を好いてくれた少女から、どうして目を逸らせる?
「ちぇ、今ならチャンスだと思ったのにな」
上之宮は軽い口調でそう言う。少しだけ震えた声で、少しだけ上擦った声で。