キミの写真
ひとまず、俺は上乃宮を連れて教室に入る。
誰もいない教室は、まさに今の俺の心中を表しているかのようだった。
――胸が重い――
俺の胸の中に後悔やら悲しみやら、ありったけの負の感情が渦を巻いている。
その奔流がうねりを上げて、全てを黒く塗り潰そうとする。
――先生だって、私のこと全然――
「くそっ!」
耐え切れなくなった腹いせに、黒板を思い切り殴る。
返ってくるのは、黒板を殴った痛みとけたたましい音だけ。
……何やってんだ、俺は。教え子の前で――
その教え子、もとい上乃宮はというと、教壇の近くで心配そうな目で俺を見ていた。
「先生……」
そっと、上乃宮の手が俺の手を柔らかく包む。
――あったかい、な――
俺は、呆けていたから気付かなかった――
上乃宮の、表情に。
何かを堪えるような、とても辛そうな表情に。