キミの写真
気付くと、上之宮は既に泣き止んでいた。
子をあやすように、背中を撫でてくれていたんだ。
そんな自分が情けなく思えて、また腕に力を込める。
だが、その葛藤を知ってか知らずか、上之宮は俺の腕を振りほどいた。
「上之宮……?」
何故? 正直、もう少しこのままで居たかった。
一人になっても、まだ孤独に耐えられる気が、しない。
「先生、とりあえず教室に入りませんか? ……今更ですけど、まだ人残ってますよね」
「……あぁ、そうか……そうだな」
だれかに見られてたら大変ですし。
なんて笑う上之宮に、ぎこちなくだが笑顔を返せた。
彼女のおかげで、波立っていた心が凪いでいく。
………確かに、いつまでも廊下で抱き合ってるわけにはいかない。
相当周りが見えなくなっている自分に、また落ち込む。これじゃどっちが大人か、わからないな……
……ひかるも、こう慰められたのだろうか。性懲りもなくそう考えると、また胸が痛んだ。
まったく、俺はいつからこんなに女々しいやつになったんだろう……