キミの写真
「私は……が……き」
「……に…………ないよ」
ひかると上之宮の声だという事は分かる。ただ、内容まではよく聞こえない。
俺は悪いとは思いつつも、聞き耳を立てる。いや、な、危ない話だったら教師として止めるべきだからな?
「ひかる、どういうつもり?」
「んー、なにがかな?」
怒気を孕んだ上之宮の声と対照的に、ひかるは冷静。どうやら、あまり良い話では無さそうだ。喧嘩か……?
「言わなくても分かるのよ! 先生、凄く辛そうにしてる……。あなた、何を言ったの!?」
次の言葉を聞いた俺は、聞き耳を立てた事を後悔する事となる。聞きたくなかった言葉。だが、至極当たり前な言葉。
ただ…………ひかるの口から、はっきり言われるのはショックだった。
「だから言ってるじゃん! 僕と先生は何も関係ないって! 僕、言ったよね? もう好きにして良いって!!」
重たい鈍器で頭を殴られた気がした。俺の中では、自分なりに受け入れていた事実。勿論、辛い。だから上之宮もあんな手紙を挟んだのだろう。
でも、ひかるの口から吐かれた言葉。ソレは俺の心をズタズタに引き裂いていた。