キミの写真
ひかるは、その男子生徒に手を引かれるようにして消えてしまった。屋上の扉が閉まる、重たくて低い音が辺りに響き渡る。
冗……談……だろ? ひかるに限って、そんな事は……。
頭が上手く回らない。理解できない。
―――理解したくない。
しかし、本当は自分が一番分かっている。俺の不用意な言葉に、傷心していたひかる。その彼女に寄り添い…………。
導き出される答は一つ、とてもシンプルな一つの答。そして、最も信じたくない最悪の答。
ひかるはあの男を選んだのだ。もう、俺は彼女の隣には居られない。もう……一緒に笑い合えない。
不思議だな。さっきまでは暖かく見えた夕日、神秘的な橙色の光。それが今は……こんなにも悪魔的だなんて。
身を焦がす、紅の炎。今の俺には、夕日がそう見えてならなかった。
その時の心情で、ここまで違った景色が、色が見えてくるんだな……。
ひかる……卒業式の練習で見せたくれた、あの笑顔……。全部ニセモンだったのか? あの時、お前は何を考えていたんだ……? なあ、ひかる。教えてくれよ……。
僅かな亀裂は肥大し、修復不可能。
イヤダナ。ヤケニ空ガ暗イ。