キミの写真
◆
ひかると話したい。
やっと気付いた彼女の気持ちに、もう自分を抑え切れなかった。会いたかった。
……やけに、時が経つのがやけに遅く感じる。
なんだかそわそわしてしまう俺。 気持ち悪いな。
「……先生、何か用?
こんなトコに呼び出したりしてさ」
「ひかる……」
卒業式の練習後、教室へと帰っていく人混みの中でひかるを捕まえた。
驚くひかるにかまわず、囁いた。
放課後、屋上に来てくれ、と。
「先生……僕さ、これでも忙しいんだ。早くして?」
「あ、あぁ……」
……なんだろう? ひかるの態度に酷く、違和感を感じる。
おもわず尻込みしそうな自分に喝を入れ、まっすぐひかるを見つめた。
「ひかる、ごめん。俺は勘違いを……」
「……またその話? なら僕はもう……」
ひかるは、申し訳なさそうに顔を伏せる。だけど、俺にはまだ……
ひかる、とまた性懲りもなく声を出そうとしたとき、突然目の前のひかるが消えた。
「曽根川!
もういいだろ、帰ろうぜ」
知らない男子生徒が、俺に背を向けて立っていた。
「え、わわっ、
ちょ、先生ごめん。やっぱり帰るね。
……バイバイ」
――え?
ひかるが、連れていかれる。
まってくれ、急な展開に頭がついて行かない。
だれか、教えてくれ……。