小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

キミの写真

INDEX|24ページ/57ページ|

次のページ前のページ
 

 ひかるが頬笑んでくれる――

 この事実がうれしくて、俺はより声を張り上げる。
 突然大きくなった俺の声に、批判をしていた生徒達の抗議が止まる。

 俺の頭の中は今、ひかると過ごした日々でいっぱいだった。


 ――帰るときに必ず、眩しいぐらいの頬笑みをくれたひかる。


 ――熱で倒れたとき、傍にいて心配してくれたひかる。



 大好きなひかると離れるのは……辛い。

 知らず知らずの内に、目頭が熱くなる。


 ――かっこわりぃ――


 潤む瞳を生徒達に見られないように、天井を仰ぐようにして歌う。

 最後の一小節が終わり、ピアノの音も終わりを告げるかのように、余韻を残して消える。


 ――終わった――


 生徒に何を言われようと、俺は立派に歌い切ったと、胸を張って言える……


 ふと、目の端でひかるを見る。


 何だろう……ひかるは頬笑んでいる。

 だが、その笑みには何か別の感情が含まれてる……。


 喜びとも、寂しさとも違う……。


 ……そうだ、俺もよく知ってる感情だ。


 ――やっと気付いた。


 ひかるは、あの日からずっと、後悔していたんだ…………。



 俺と同じように……。



作品名:キミの写真 作家名:アテナ