キミの写真
「よーし、ふざけんなお前ら。
これが卒業式だったらと思うと泣けてくるぞ」
あくまで、軽い調子を貫こう。それが今出来る最良の手段で、最高の気分転換だと思った。
ひかるのことばかり考えたいのは山々だが、そんなことでは更に機嫌を損ねてしまう。
案の定、生徒達から批判の声が上がっている。じゃあ先生やってよーとか、俺らより声小さかったら罰ゲームだぞーとか。
……いや、待て。罰ゲームって何だよ。
「───♪─────♪」
ピアノの伴奏に合わせ、歌声を張り上げる。
それはとても自慢出来る旋律ではなくて、あちこちから笑い声が聴こえる。
解ってる。解ってるさ。俺が音痴だって事くらい。
だけど、大切なのは気持ちだろう?
やらないよりは、やって後悔する方がマシだ。とは何かの受け売りだが。
視界の端に、懐かしい笑顔が映った。嘲笑ではない、優しい、優しい笑みが。
俺がそうさせたんだと思うと嬉しくて、更に俺の声が大きくなったのに気が付いた。