キミの写真
降り止まない雨が体育館の屋根を叩く音がする。
どんよりと曇った空はそのまま俺の心中を表しているようで、さらに滅入る。
体育館の中にはもう一つの音があった。
ずらっと列んだ三年生の歌う、卒業式の校歌の練習である。
ピアノの伴奏に合わせて聞き慣れた歌詞を紡いでいる……のは数える程度。やはり練習では身が入らないのか、こそこそ私語をしたりしている奴らが大半だ。
それを注意しつつ、自分も身が入っていないことは自覚していた。
あの屋上での気まずい別れから、数日。俺とひかるは未だに距離を取っていた。
もともと学校では二人だけの時間なんてあまり持てない。それに、ひかるの方が避けているような節もある。
列にいるひかるは、俺の方など見るものかと言うように、真っすぐ前を向いて校歌を歌っていた。
……まだ怒ってる、のか?
何故? 俺が何か失言したのは分かる。だが、一体どんな?
分からない。分からないまま、ピアノが終わるのを聞いていた。