キミの写真
カチャリ。
普段は立ち入り禁止の屋上へと繋がる扉を開ける。
鍵もかかってないし、出入りは自由だ。
……もう少し規制するべきだと思う。俺が言うのもなんだがな。
夕陽に照らされる屋上は閑散としていて、とてももの悲しい。
…………? 誰か、いる?
金網越しに夕陽を見つめている小さな影がひとつ。
ひかるだった。
まだ少し寒さの残る春風がひかるの髪を揺らす。
「ひかる」
歩み寄りながらひかるを呼ぶ。振り向いたひかるの顔は、心なしか元気がなさそうに見えた。
「先生、調子はもう平気なの?」
作り笑い。
一生懸命に笑っているが、先程の寂しそうな表情が頭から離れない。
「ひかる、その…
さっきは本当に悪かった。」
後悔を形にするように、深々と頭を下げる。
「せっ、先生っ!?
頭を上げてよ、僕が悪者みたいじゃん!?」
あわあわと慌てるひかる。
深々と頭を下げたのはひかるを直視できない気持ちの現れか……。