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キミの写真

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「……何で? 悪い?」


「へ?」



 突然ひかるが俺に背を向けた。何が何だかわらなくて、戸惑う。



「ひかる?」



 呼び掛けても反応を返してはくれない彼女。でも何故か、焦りは無かった。


 だけど……やっと振り向いたひかるの顔が、笑ったような、怒ったような顔をしていて、やっと気が付いた。

 自分の、失言に。



「……じゃあね先生。
授業が、始まっちゃうからさ」


「あ、ひか……」



 呼び止めて、謝りたい。

 でももう、遅かったんだろう。



「先生!」



 ひかるは言葉を続けようとする俺を制した。

 何も聞きたくない、と。言われたようで、それきり俺の口は馬鹿になってしまった。



「……私が居ないからって寂しくて泣いちゃダメだからね?」



 言うと、いつものように笑って……ああ、昨日も走っていってしまったっけ。



「く、そ……。馬鹿か俺は…」



 自分の情けなさに、思わず口に出して頭を抱える。

 強がって、笑わせてしまった。いくら悔やんでももう、遅い。



 ――始業のチャイムが、俺の周囲を震わせる。

 それにすら気付けず、俺はただただ、自分を責め続けた。



作品名:キミの写真 作家名:アテナ