キミの写真
「せ、先生はイジワルだ……」
ん? 何故?
キッと俺を睨み、ひかるはソッポを向いてしまった。そんな姿すら可愛く思えてしまうのは……うん、仕方ない。
「……なんだ、ひかるも食いたかったのか?
ほら、まだ余ってるからやるよ」
「ちーがーうー!!
………でも、食べるよ」
あーん、と口を開ける彼女にスプーンを運ぶ。小さく崩したそれは、容易に吸い込まれていった。
それは所謂間接キッスと言うもので……もので…………
「……おいしー。
ね、ホントにお嫁さんになれるかな?」
俺の思考回路はショート寸前まで追い込まれていた。
いや、俺がしておいて何だが、まさか躊躇い無く食い付くなんて思わないだろう?
彼女の不安気な微笑みを、浮かれていた俺は見落とした。
それは後悔してもどうにもならなくて、でも、この幸せを手放す事が出来なかった。
「は、ははは……ひかるはお嫁さんになりたいのか?」
だから、きっと、俺はこんな言葉を言ってしまったんだろう。
俺の物になれ、なんて気障な台詞は吐けなくて、それをひかるがどう受け取るかなんて、考えもしなかった。