キミの写真
ひかるは声を殺して泣いている。そこまで気に掛けてくれていたのかと思うと嬉しかったが、同時に悲しかった。
ひかるの背中をポンポンと、やさしく叩いてやる。それに釣られるように、ひかるの手の力が強まった。
「……大丈、夫。
大丈夫……だから……な」
呂律が回らない。頭はクラクラと揺れ、吐き気と熱が酷い。
まさしく満身創痍の体だったが、ひかるの前で泣き言を言いたくは無かった。
そんな考えが伝わってしまったのか、顔を上げたひかるが頬をぷうっと膨らます。
「……嘘つき。
先生の方が……辛いクセに」
あ、やっぱ無理だったか。
強がってみたものの、声に覇気がなかったのは自分でも解る。
「……約束して」
「…………なんだ?」
大分マシになった俺の言葉。短く切ったからこそ出来る芸当だったが、ひかるは気付かなかったようだ。
仄かに嬉しそうな微笑みが洩れていた。それが、何故だか無性に心を擽る。
「今日から絶対に、ご飯をしっかり食べて、しっかり寝て!
そんで……僕達の最後の式をちゃんと見届けてよ……お願い……」