キミの写真
「先生……? どこか、痛い?」
あぁ、暖かい。柔らかい手が、触れたかったひかるの手が、俺の頭を撫でてくれる。
「ひかる……」
ひたすら、彼女の名前を呼ぶ。
温もりが消えてしまわないように。ここに、居てくれと。
彼女は、呆れているだろうか。そんな気がしてまた涙が零れる。
目蓋はまだ、俺の意志に反して開かない。
「……先生」
「……?」
何か、暖かい物がふってくる。これは……
「なんで……泣くかな?
泣きたいのは、僕の方だよ」
ひかるの……涙?
「なんで、急に倒れるかな!?
昨日は何ともなさそうだったのに! しかも凄く、顔色悪いし……!」
「ひかる……ごめ……な」
言葉さえ上手く出せない自分の体に、酷く、苛立つ。
ひかるを、泣かせてしまった。泣いてなんてほしく無い。笑ってくれ。
「……嫌、許さない。
だってもし、僕の知らない所で、倒れてたら……とか、考えて……怖かったんだからね!」
「………!」
突然何かの重みが……いや、これは解るさ。
俺の上で震えるソレを、漸く言うことを聞いた腕でそっと、抱きしめた。