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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔本物語

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 セイはなんとなく頷いて見せたが、内心では自分のいた世界にも似たような物があったと言いたかった。
 そして、セイはさっきしようとした質問をした。
「この乗り物は何を原動力にして飛ぶんですか?」
「風に決まってるだろ。風に乗ってゆったりと地面に下りていくんだよ」
「はぁ、それで上に行きたい時は?」
「下から風が吹いたら上がるんじゃないか?」
「はぁ」
「冗談に決まってるだろ」
 すっかり騙された。
 ウィンディは乗りについていたふたのような物を開けると中から蒼く輝く丸い物体を取り出した。
「これが原動力だ」
 ウィンディの手に乗る蒼い玉を見たファティマが目を輝かせて話題に飛びついた。
「これって飛空石だよね、すっげえ、はじめて見たぁ」
「おっ、譲ちゃんは飛空石を知ってるのか。見た目のわりに物知りだな」
「えっへん!」
 二人の会話についていけないセイはすまなそうに手を上げた。
「あのさ、飛空石について説明して欲しいんだけど」
「おう、飛空石っていうのはだな」
 ウィンディが説明をしようとすると、その上に声を乗せてファティマがいつもの調子で説明をはじめた。
「説明しよう。飛空石とはその中に風の力を秘めている石のことで、天空都市ラピュータを飛ばす原動力になっている。世界一大きな飛空石はちょー有名で、蒼風石なんて名で呼ばれている。以上説明終わり」
 先に説明を言われたウィンディは悔しそうな顔をした。
「まあ、その通りだな。俺の持ってる飛空石は小さいものだが、これでも貴重品で町の教会からちょっと拝借してきた」
 拝借という言葉が少し気になりはしたが、セイは別の質問を投げかけた。
「ウィンディさんは羽があるのに、なんでこんな乗り物に乗ってたんですか?」
「いいところに目を付けたな。では、積もる話もあるだろうから、ウチの招待しよう。では、乗れ!」
 なんて強引な人だとセイは思ったが、ファティマはすでに乗り物に乗って、それも操縦桿を握ってニコニコしていた。
「早く行こうよぉ!」
 早く行こうもファティマが操縦桿を握っていることにまず問題があるし、第二にこの乗り物は二人乗りだった。
 セイがあたふたしていると彼の身体はウィンディによって持ち上げられ、ファティマの後ろの席に乗せられた。
「あ、あの僕たちだけ……?」
 困った表情をしたセイを見てウィンディは何も言わず笑うと、飛空石を取り付けて機体に一発蹴りをかまし、ファティマに簡単に操縦の仕方を説明して自らの羽で空に舞い上がった。
「俺のあとについて来い!」
 手招きをするウィンディの真横を無音で宙に浮いた機体が天を突くように昇って行った。その後にセイの絶叫が空に木霊した。
 ウィンディは苦笑いを浮かべながらすぐに機体の後を追って空に昇った。
作品名:魔本物語 作家名:秋月あきら(秋月瑛)