死体お一人様
死んだ人間は生き返らないのです
なんでこんなに毎日毎日毎日殺人事件って起きるわけ!?
朝のニュース番組を見るなり俺のイライラはピークに達した
コーヒー1杯と、トースト2枚
目の前には昨日からある男の死体
「早く父さんのやってよー」
「うん、俺低血圧なの、ちょっと待ちなさい」
「ふんっ どうせ俺の父さんの死因がわかんないんだろ?」
「なんだとー?俺をなめてんのか小僧」
「気持ち悪くてなめたくない」
むかつく
社会と低血圧とこの小僧にむかつく
「誰かあああ!誰かいないのかあああ!」
外は今日も騒がしい
なんだなんだと、やじうまの声も徐々に大きくなっていった
「確かあそこの家って、死体を…」
「あぁ…行ってみるか…」
ぐっ…嫌な予感しかしない
ぴんぽーん
俺の怒りとは裏腹に軽快なインターホンの音
ぶすっとしたまま俺は立ち上がり、玄関へ向かった
小僧はくすくす笑いながら俺の後ろをついてくる
「はいはーい、どちらさま」
「あ…あんた、死体を診てくれるんだろ?」
「ええまぁ」
「今、人がそこで倒れたんだ!」
「そういうのは救急車呼ぶか、警察に連絡してください」
「なんだと!じゃあここ何してるとこなんだよ!臭いもひどいし、気持ち悪い…」
「というか、その人別に死んでないだろ」
「…え?」
道で倒れている男は、ただ眠っているだけのようだった