あたしとリツコの徒然草
ダイジョウブ
「大丈夫だよ」
泣いているリツコにかけられる言葉が思いつかなくて、
「大丈夫だよ」
って、繰り返した。
泣いているリツコを初めて見たあたしは、もう何もかもが全然大丈夫じゃないような気がしていたけど、それでも。
「大丈夫だよ」
って、繰り返した。
無責任だと怒らないで。
これがあたしの精一杯。
悔しくて情けなくて、泣き出しそうになるのを必死でこらえて、
「大丈夫だよ」
って、繰り返すことしかできない。
それでも。
それでもね。
そんな風にしていながらも、リツコが泣いていることが、少しだけ嬉しかった。
あたしの前で泣いていることが、少しだけ嬉しかった。
涙の分だけ、アナタに近づけたような気がした。
「大丈夫だよ」って、繰り返すこの唇が、少しだけ誇らしかったの。
それでも。
それでもね。
やっぱり、笑ってくれてた方が良い。
だからやっぱり、「大丈夫だよ」って、繰り返すことしかできない自分は、悲しい。
「大丈夫だよ」
精一杯の気持ちを込めて、繰り返すことしかできない。
作品名:あたしとリツコの徒然草 作家名:ハル