あたしとリツコの徒然草
ぬけた空の向こうがわ
田舎の空は『空』だ。広くて、煌々としていて、晴れた日には天辺が抜けるんじゃないかと思うくらい大きい。
それに、あたしの家ではいまだに、西の夜空を見て明日の天気を予想したりもする。
夜帰宅して、母に「今日、星出てた?」と訊かれると、テレビの予報を見なさいよ。と答えたくなるけれど、衛星ひまわりの映像からはじき出された予報よりも、頭上に広がる夜空を見た予想の方が当たるような気もする。
それは田舎者の思い込みなのかも知れないけれど。
たまに旅行がてら都会に赴くと、空は『切り抜き』になる。ビルの隙間の空間に、大雑把に張り付けられた色画用紙みたいだ。
そうなると、空は途端に信用を失くす。
「変。ね。空は、同じ空なのに」
あたしがそう言うとリツコは笑った。
「人間だって、同じだよ」
あたしは、どんなときもリツコを信じよう。と思った。
作品名:あたしとリツコの徒然草 作家名:ハル