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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 ――そんなことしてる場合じゃねえだろう……。
 小娘は思っている。そして姉は言った。
 ――会社、二期で赤字なんだろ……。
 「それでは、さっそく本題に入りたいのですが……ですが、肝心の間さんはおられない。どうなさるのですか? そちらには何か仰りたい御用向きがあるとか。こちらにも申し上げたいことはありますが、まずはそちらから仰っていただいたほうがいいと思うのですが」
 大井弘子の言葉に、市原は応じる。
 「ああ……はい、そうですね、今、芝崎が来ます。間たちの想いは芝崎が受けていますから」
 間たちの想い。
 市原はそのようなことを言ったが、言っていて自分でおかしいとは思わないのだろうか。
 ――そんな大層なもんかよ。アホか。
 やがて。芝崎が会議室にやってくる。足を踏み鳴らし、肩を怒らせたその姿は、要するに、
 ――オレは怒ってるんだ。オレを怒らせたらどうなるか分かっているのか!
 というポーズであろう。
 芝崎は市原とは目をあわさずに、自分の席についた。
 「どうも」
 大井一矢は軽く頭を下げたが芝崎は何も言わなかった。ただ、薄汚い色を下唇を震わせるばかり。
 「それで……なんでしょうか?」
 大井弘子は冷静に聞いた。
 「何か、現場サイドでいろいろともめておられるとか……」
 女主人は言い、そこで芝崎が狂犬病を煩った駄犬のように吼えようとする。と、その前に。
 「ひとつ申し上げておきたいのですが、芝崎さん、あなたはいつも打ち合わせに遅刻をされるのですね。私が本日、こちらにやってくることはわかっておられたのに、何故、そういう非礼を働くのですか。あなたは、市原さんの部下なわけですから、上司よりも先に現場に入っていなければならない。それは社会人として当然の態度でしょう」
 それは鋭いカウンター。芝崎はたじろぎ、大井弘子はさらに一撃を見舞う。
 「……ゲーム業界の人間とは言えサラリーマンなのだから、大事なのは一般常識。この言葉、覚えておられます?」
 「……」
 「これは芝崎さん、あなたがゲーム学校の生徒達の前で講師として招かれた時に仰った台詞です。自分の言ったことは、忘れてしまいましたか? ネットで簡単に拾ってくることのできたのですが。まあ、時に、自分の言葉の意味を理解しないままに話をされる方がおられますけど」