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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 会議室に集まった男達は暗い顔をつき合わせている。
 青い鳥は逃げていってしまった。逃げていってしまったのだ。もっとも、そのことの本当の意味を知っているものはいない。
 「……シナリオは、なんとかなった」
 市原は言った。不始末の元凶は芝崎の愚かしい対抗心――否。そうではなくて、エターはキンダーガーデンが破産したときにすでに死んでいたのだ。
 「八方、手を尽くして……シナリオは何とかなる……。
 大井姉妹がいなくなってから、市原は、知り合いのライターに頼み込んで、なんとか都合をつけた。
 「エターの五と同じスタッフをかき集めて……」
 市原は僅かに憔悴している。一方、芝崎も越田も間も何も言わない。この愚かな連中は自分に少しでも落ち度があったのではないかというような事を考えないのだ。
 自分は絶対。
 自分は正義。
 自分はエター。
 間などは、大井弘子か断腸の思いで作業を降りたことをあざ笑っていたのだ。
 ――オレの威光をもってすれば、外注追い出すことぐらい簡単なことよ。
 間は自分が勝利したと信じて疑わない。作品がこれからどうなるかというようなことは間にとってはどうでもいいこと。まさに、禽獣のような近視眼。
 「だから……最初から言ったんだよ。あんなわけのわかんねー連中使うのなんて反対だってよ」
 間は憎憎しげに口を歪ませて言った。
 「最初から、五のライター使っときゃ良かったんだよ」
 責任は……市原にある。勝手に、おかしな奴らを呼び込んだ無能なエグゼクティブ・プロデューサー。市原が苦しむことは間にとっては何よりも快感であるのだ。
 「……」
 市原はむっとなっている。だが……反論のしようもない。市原には、間を下ろして別の人間を立てるという決断ができないのだ。ほかのグラフィッカーを呼ぶ。それだけのことができない。なめられっぱなしの役員。間はどこまでも増長していく。
 「生意気なことばかり言いやがって。あいつらムカツクんだよ! 消えてせいせいしたぜ」
 間は口が多い。
 「まあ、あとは俺たちでなんとかすればいいやな」
 越田も、当面の敵が排除されたことを喜んでいる。自分達の作業が増えるということは……そのことは今は考えるべきではあるまい。
 「使ってもらいたい声優がいるんだよ」