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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 だから、エターナル・ラブは間違いなく大井弘子の作品であり、丸山花世の作品である。それは誰が見てもそう。ただ、芝崎たちスタッフだけがそれを認めない。
 「大岡裁き……ですか」
 二人の母親。我が子を綱引きのように引っ張り合えば、本当の母親は慈愛から手を離してしまう……もっとも、昨今の母親はそういうものでもないか。 
 「うん。そう。アネキも私も女でさ……本当は生んであげたいって悔いる気持、あるんだよね。私もアネキも。だって、作品の神様に選ばれて私ら来たわけで。なのにこういうことになっちまってさ」
 「……」
 「悔しいし、哀しいし、情けないしで……」
 小娘はぼやいた。
 「物語の神様の信任をさ、私ら、失っちまったんじゃないかって……そんなこと、思うんだよね。でも……やっぱり、あいつらと一緒に仕事していくのは無理なんだよね。大岡越前がいてくれたらこんなことにはならなかったと思うんだけれど」
 「……」
 「アネキの決断……正しかったと思うよ。ほかに取るべき道なんかなかったはず。でもさ。考えるんだよね。ほかに方法、なかったのかって……」
 小娘は彼女にしては珍しく物憂い。そして三神は言った。
 「ブランのタイニーと、16CCの本家エター。車輪の両輪で。二つあわせてセットで一つの作品。小ざかしい仕掛けといえばそうなんだけれど、そういう変わった仕掛けがないともうエターってもたないんだよね。でも、それを芝崎たちは嫌った。自分達の思い通りに出来なくなるからね。自分達は本当にただの下っ端に成り下がってしまう……でも、会社潰したんだから、そんな扱いされるの当然なんだよね。わかってないのは本人だけで……」
 「……」
 「三神さん、あんだったら……どうする? 私らと同じような立場になったら。やっぱり唯々諾々として市原の言うことを聞いた?」
 小娘にしてはそれは珍しいこと。誰かに意見を求めるなどということは、丸山花世は普段はしないのだ。と。三神は言った。
 「さあ……どうなんですかね。私は、多分ですが、最初から市原の仕事を請けなかったと思います。あの男の低劣さはすでに知ってますしね。あとあと面倒になることはわかってますから」
 「……」