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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 「それよりもさ……思うんだよね。もう少し頑張って……私らが我慢したらそれでよかったんじゃないかって。芝崎とか市原、あと、間とか本当に嫌な奴らでさ、間なんか今度あったらぶん殴ってやるって心に誓ってるんだけれど……」
 「作品のことを想う……ですか?」
 「……うん」
 エター。エターナルラブ。作品。
 「作品の神様は……エターについている女神様はさ、あんなにひどい扱いされてるのに健気なんだよね。とても健気に感じられるんだ……」
 小娘には作品の魂が肌で感じられる。それは普通の人間ではありえないこと。商品。ただの製品。工業製品には感情などない。ありえない不条理。けれど、丸山花世も、大井弘子も、確かにそれを知覚している。作品の神様の意思。
 「みんなさ、オレのエター、オレのエターってうるせーんだよ。でも、本当はあいつらは作品のことなんかひとっつも思っちゃいない。自分が目立ちたいだけ。自分が威張りたいだけ。自分が良い思いをしたいだけなんだ。だいたい、作品よりも目立とうとする裏方ってなんだよ、それ。馬鹿じゃねーの」
 あるいは雑誌で。あるいはブログで。芝崎たちは言いたい放題のでしゃばり。まさに見るに耐えない愚昧の暴走。
 「そんなにてめーが目立ちたいんだったら芸人にでもなりゃいいんだよ。仕事選べよ」
 風が少しだけ冷たい。
 「……みんなさ、オレのものオレのものって作品を戦利品みたいに扱って。ぼろぼろにして、ぐちゃぐちゃにして。でも、誰も作品のために涙を流さないんだよ。誰一人としてだよ」
 小娘は続ける。
 「私、アネキが仕事をおりた理由、よく分かるよ。もみくちゃにされた作品の中に飛び込んでいくのが……耐えられなかったんだよ。オレの女、オレの女って、みんなでエターっていう作品を引っ張り合って。みんなだよ。そういう争奪戦の中に割って入って、私のエターって主張するのが、哀しくなってしまったんだよ」
 三神は黙っている。
 「みんな独りよがりなんだよ。みんなそう。自分の子供をさ、私の子供私の子供ってみんなが喚いて引っ張り合って……本当の母親は、自分の子が苦しむ様は見たくないから、最後の最後に手を離してしまうんだよ」
 シナリオを提供している。
 全ては姉妹の手になるもの。