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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 姉妹はエターの作業から降りた。そのことはすでに三神にも伝えてある。細かいところまではつまびらかにしていないが……。
 「あまり気にしないほうがいいでしょう」
 「まあ、うん。そうなんだけれどさ……」
 丸山花世は思っている。
 あまりにも……ひどいスタッフ。低劣な人々。三十八年積み上げたその先にあるのが、あの体たらく。
 「……トラブルもさ。なかなか収束しなくて。結構、ひどい奴なんだよね、間もそうだけれど、市原が特に……」
 「何かありましたか?」
 小娘はため息をついた。
 「アネキさ、あとあとトラブルになるから、チームから外れるように確約書くれって市原に言ったのね」
 「確約書、ですか……」
 三神は軽く頷いた。
 「連中が何に考えてるのかしらんけれど……このままじゃ、何かトラブルになるんじゃないかって、それは私も思っていて……」
 「ブランと16CCの対決、ですか?」
 「……あんた、変な人だけれど、よく分かってんじゃんか」
 16CCとブランの手打ちはなった。だからエターの権利はブランから16CCに移った。ただ、これは永久に譲渡したというよりは、貸与に近い。両者の関係がこじれれば契約はあっという間に白紙に戻る。
 「アネキもそうだけれど、私も……ブランと16CCがまたエターをめぐって揉めるんじゃないかって、そんなことを予感してるんだよね。16CCは二期連続で赤字で。で、この前の中間期の発表でも大赤字で。出すゲームは全滅で。だから、あとあと揉めるの嫌だから、きちんと文書にして出してくれって」
 小娘はそのやりとりを知っている。実に不快なやりとり。
 「いくら言っても市原って、動かないのね。もう少し待ってくれとか、今忙しいからとか……」
 「……」
 「確約書ぐらい別に出したっていいじゃんか。でも、『そこまでするのは』とかトンチンカンなこと言いやがるのよ」
 小娘は疲労している。
 「なんかさ……ただ、紙一枚出すのにどんだけごねるんだってぐらいごねて。挙句の果てに、もう送りましたとか、嘘つきやがるし……」
 「頭の悪い男ですね」