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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 小娘は足を踏み鳴らし、テーブルの上に置かれてあった資料用の雑誌を手でなぎ払って咆哮する。
 「帰ってこないんだったら、解雇だ! 解雇しろ! 上司の命令にたてつく奴はクビだッ! 全員クビだ馬鹿ヤローッ!」
 台風のように小娘は暴れまくり……そして、妹がイキを切らせる頃に姉が言った。
 それは静かな宣言であった。
 「皆さんが生きることを私も、花世も、そして作品の神様も望んでいません。皆さんは……もう、生きることが許されないのです。もちろん、生物学的には皆さんの人生は続くでしょう。でも、クリエイターとしては……皆さんは殺害されなければいけないのです」
 死刑宣告、であった。
 「私達はエターのチームから外れます」
 
 夜が長くなっていく。
 冬に向かってる少しずつ季節は移ろっていく。
 夏服から冬服へ。
 小娘もいつの間にか制服を着替えている。
 品川駅。
 ヤクザな娘はぼんやりと空を見上げる。十六時の雑踏はどこか哀しい。見上げる空は深い群青色。それもすぐに朱鷺色に変わり、茜色。最後はワインレッドに染まるのだ。
 「行くか……」
 丸山花世は一人歩き始める。駅の東口。背の高いビルの間を縫って、行きなれたいつもの道。
 ブランセーバー本社ビル。すでにシナリオの納品は済んでいる。
 と。
 本社ビルそばにあるコンビニの前で小娘を呼び止める声があった。
 「やあ……どうしました?」
 見れば……変わった男が一人ぼんやりとしている。変わり者のプロデューサー。三神はチョコレートをほおばっている。
 「なんだ、また、あんた、さぼってんの?」
 口を歪めた丸山花世は……だが少しだけ元気がない。
 「栄養補給ですよ」
 三神は言った。
 「待ってました。そろそろ来る頃だろうと思っていましたし」
 「ああ、うん……アネキからメールいったっしょ?」
 「はい」
 ――納品したシナリオの請求書を妹に持って行かせます。
 姉はそのようなメールを三神に送り、そして小娘はそれにしたがってブランを訪れた。
 「行きましょう」
 三神はチョコレートを口にくわえたまま歩き出す。小娘は疲れたようにしてそれに続く。
 「聞きました。いろいろともめたようですね。16CCと」