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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 「……この作品を続けるのですか。私達は侘びを入れに来たわけではないのです。私達は皆さんに結論を聞きに来たのですよ」
 妹は思っている。
 ――アネキはたいした辛抱だよなあ。私にゃ真似できんわ。
 「えーと、それは……続けるって言うか、続けざるを得ないっていうか……これにみんな賭けているわけで……」
 「それは、市原さん、あなたの意見であって、皆さんの意見ではないのでしょう? 皆さんは別に、私達のシナリオに賭けてはいないみたいですよ」
 大井弘子は芝崎のほうを見やった。芝崎はぼんやりしたままである。
 「現に、今も間さんはサボタージュをしている。私としては、この仕事、もう降りてもいいと思っているのですよ」
 仕事を降りる。
 市原はまさか大井弘子がそのようなことを言い出すとは思っていなかったのだろう。ヒゲは相当慌てたようである。
 「いや、それは……困るというか。その、何とか穏便に……」
 ヒゲの男は懇願するようにして言った。それは嘲りを自ら招く態度であった。
 「困ってんのはこっちだっつーの」
 小娘は嫌な横目で中年男を眺める。
 「間さんも、私達には我慢がならないようですし。憎んでいる人の書いたシナリオやプロットに絵を描くというのも不快なことでしょう」
 大井弘子は言い、市原は慌てて言った。
 「いや、間のことは、もう、大丈夫です……」
 それは口からでまかせ。そんなことは小娘にも見抜かれている。
 「何がどう大丈夫なんですか?」
 大井弘子は詰問し、ひげのプロデューサーは自分では知らないうちに虎の尾を踏んだ。
 「間とも話し合いをしましたから……間は『おまえがそんなに言うんだったらやってやってもいい、と』」
 「……なんですって?」
 大井弘子の口から……恐ろしい声が漏れた。
 「今、何と仰いました?」
 「え、ええと……」
 雰囲気ががらりと変わった大井弘子に、市原は怯んでいる。
 「何と? 間さんは何と仰ったのですか?」
 「いや、ですから……『おまえがそんなに言うのであれば、やってやってもいいと……』」
 大井弘子は天を仰ぎ、沈黙する。
 「何か……問題があるのであれば、ボクがみんなを説得しますから……ですから、降りるのは、それは勘弁というか……時間ももうないですし」