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むべやまかぜを 風雲エターナルラブ編5

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 「ですから、多少は手心を期待できるのではないかと……」
 「なんか、根拠あって言ってんの?」
 小娘は尋ねた。市原は応じる。
 「いや、根拠はないのですが……上が何考えているか、ボクらには分かりませんし……」
 まったく根拠のないままに大丈夫と言い切る。市原は本当に頭がおかしいのかもしれない。
 「では……たとえば、期末になるごとに新規事情を立ち上げていけば、親会社は延々と16CCを支援してくれると?」
 ゲームがダメなら出版業。出版がダメなら映画部門。金融、居酒屋、土建業。新たな部門を起こし続ければ金はいくらでも支援してもらえるのか? そうではあるまい。
 「……」
 市原は黙り込んでいる。先の見通しは立っていない。
 「ですから、エターに賭けているっていうか……」
 「賭けてるって……スタッフ、全然、協力する気ないみたいじゃんか」
 芝崎は黙っている。会社をどうするかというよりも、目の前にいる目障りな相手をどうするかということが社員の最大の懸案事項となっているのだ。
 「私は……そんなに虫のいい話は通らないと思います」
 大井弘子は言った。
 「もしかしたら、支援は続くのかもしれません。けれど……心がけの悪い人には物語の神様は良い作品を書かせてはくれないでしょう」
 もうエターは羽ばたかない。二度と持ち直すことはない。
 姉妹にはその結末が見えている。見切れてしまっているのだ。
 「市原さん。芝崎さんもそうですが……スタッフに愛されないキャラクターは、お客さんにも愛されないのです」
 大井弘子は続ける。
 「……本当に。ここまでちぐはぐなスタッフは見たことがありません。オレのもの。オレの作品。オレのエターナル・ラブ。でも……誰も、本心から作品を愛していないし、作品に触れていない。作品を皆さんはおもちゃにしているだけ」
 市原も芝崎も何も言わない。語るべき言葉もないのか。
 「それでどうするのですか」
 女主人は訊ねた。
 もちろんのことだが……大井弘子も丸山花世もまだ本題に入っていない。
 「えーと……何がですか?」
 市原は首をかしげた。やはりこの男は薬で前頭葉がいかれているのか……それとも演技であるのかる