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除霊師~藤間道久の物語 1・藤間道久(1

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建設会社の社長からの依頼で、県内のある地区に建築途中で
計画が頓挫してしまったマンションがあり、
そこに動物の幽霊が現れるらしい。

らしい、というのは今回、依頼者本人が見たのわけではなく、
そのマンションを根城にしていた不良たちの証言だった。

五人のグループだったが、その内三人の不良が何かに喰われて死んだそうだ。
夜中にみんなで遊んでいるときに、一人になった奴が突然姿を消し、
また一人と姿を消したのでおかしいと思った一人が先の様子を見に行き、
残った二人が後から付いて行った時には、先行した一人を含めた三人の死体が
見るに耐えない状態でフロアに放置されていたそうだ。
三人とも叫び声も上げずに死んでいたことから、声を上げるまもなく殺された、
と判断されたが、犯人は愚か容疑者すらも見つかってはいない。
生き残った二人は、警察が事情聴取をしてもまったく要領を得ない話をするだけ。
その中の証言でひっかかったのが、

“三人の死体の傍で犬の鳴き声がした”

というものだった。
それ以外の証言に関しては特にめぼしいものはなく、
二人はお互いのアリバイを証明できるということと
殺害動機がないということで、現在は釈放されている。

そんな原因も犯人も不明の殺人事件の現場に自分の土地がなってしまい、
警察からの聴取にも困り果てたその社長は悠希さんに依頼を頼み、
調査という名目で俺が現場に赴いたわけだ。
調査、というのは本当に名目だけで、俺は今回の調査で解決してしまうつもりでした。

今まで楽しいと思える仕事なんて一度もなかったけど、今回ほど胸糞悪くなった仕事もなかった。
そんな後味の悪い事件でもあった。


「君が藤間君かね?」

恰幅の良い白髪の老人は、社長には見えないとんでもなくラフな格好をしていた。
サングラスをかけ黒の革ジャンを羽織り、ジーンズを履いた格好はどことなくヤ○ザを
連想させなくもない雰囲気をまとっていた。
目の前にいる社長から詳しい話を聞くために学業を差し置いて、
横浜市金沢区にある現場に俺はやってきた。緑が多く、山の近くに建築予定だった
そのマンション跡地は見ただけで怪しい雰囲気を漂わせていた。

嫌な空気。そんな言葉がぴったりだった。

「ええ、そうです。あなたが御手洗社長ですか?」
「ああ、そうじゃ。君、今社長っぽくない、と思ったじゃろ?