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除霊師~藤間道久の物語 1・藤間道久(1

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当時の俺はなまじ才能があっただけで、何の知識も持っていなかったこともあり、
抵抗する術もなく、右腕を喰われ、痛みを感じることもなく死を待つだけの存在だった。

俺は生まれて初めて神に祈った。

"助けてください”と。

両親が死んでから神という存在を信じてもいなかった俺は、
そこで初めて神という存在を願った。
ただ生き残りたい一心で。


そして目を瞑れば完全に喰われるという状況で、

一つの足跡と共にそこに現れたのは、神様でも天使でも悪魔でもない。
一人の人間だった…。


そして彼女の右腕はあっという間に悪霊を捕らえ、蒸発させてしまった。
何事もなかったように彼女は俺を見て。


"あんた、右腕は?"

俺は答えられなかった。

"今の悪霊に喰われたのかい?"

俺は首を縦に一回動かした。

"そう、ごめんなさい。さっきの悪霊と一緒に蒸発させてしまったの。"

俺は動けなかった。

"こんなところで何をしてるの?あんたまだ学生でしょ、親は?"

その言葉に動揺し、沈黙がしばらく続いた後、ようやく答えた。

"二人とも死んだ。"

"そう、それは悪いことを聞いたわ。"

それっきり彼女は黙ってしまった…。
その姿はとても凛々しく、まともな精神状態ではなかった俺でもかっこいいと思わせる
姿で、その姿は今でも鮮明に覚えている。

"あんた、さっきの悪霊が視えていたの?”

その言葉に無言で頷いた。

"そう、じゃあ私について来なさい。あんたに新しい腕をプレゼントするわ。
その代わりにあんたには私の仕事を手伝ってもらう。あんたは良い霊能力者になるわ。"

それが、俺と悠希さんの初めての出会いだった。

そして、悠希さんは俺に義手をつけてくれた。
まるで本当の腕のような見た目と感覚、動きの出来る義手を。
そして、新しい家族になってくれた。
俺にとって、悠希さんは命の恩人であり、新しい命をくれた大切な人だ。
その事実はどうあっても覆らない真実なのだ。

おかげで、普通に生活しても誰にも義手と気付かれることなく、穏やかに過ごすことが出来た。
失ったものは大きすぎたけれど、手に入れたものも大きかった。

それが今の俺を形成しているものだ。


さて、話を戻そう。

今回の仕事は悠希さんが以前本職の仕事を請け負ったことのある