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除霊師~藤間道久の物語 1・藤間道久(1

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悠希さんは、創ることに関しては天才的な才能を発揮できるのだが、それ以外のことはからっきしというかさっぱりすぎるくらいに致命的だ。
料理は問題外。掃除も掃除じゃなくて、余計にちらかすことの才能の方があるくらい。
亜理紗さんは、逆に炊事・洗濯・掃除どれもしっかり出来るのだが、何かがいつも抜けている。料理に関しては、塩が入ってなかったり、必要な具材を一つ入れ忘れたり、とか。
洗濯はアイロンの掛け忘れとか、正直メイドとしては致命的欠陥と言えるものなのだけれど、俺も悠希さんも特に文句は言うつもりもない。
当の本人としてはなんとかしたいと思っているみたいだ。

「いやぁ、やっぱり亜理紗は何でも似合うのよね。最初に面接したときの黒スーツもよかったけど、今のメイド服も亜理紗のスタイルがいいから
胸もお尻も強調されててね。やっぱりここで食べちゃおうかし…。」

ばちん!

最後まで言わせる間も与えずに叩いた。スリッパで叩いた。
この百合女!!
つーか、一仕事終えて帰って来た使用人に言う言葉じゃねぇよ、ほんと。

「なーにすんのよ、道久!いいじゃない、雇用主の趣味よ!」
「尚更よくねぇーよ!!雇用主!?まんま自分の趣味だろうが!この百合女。」
「そうよ、何か文句ある?」
「開き直るな!そんなに胸とか尻とか言ってるんなら、自分のでも触ってりゃいいじゃん。」
「えっ、それに飽きたから他の人のものに触りたいんじゃない。」
「じゃあ陽菜さんでも呼べばいい。」

陽菜さんというのは、悠希さんの妹で、今は警視庁のエリートとして刑事課で経験を積んでいる。
そんな人を人身御供に出す自分も自分だが。

「嫌よ、陽菜のなんかもう触り飽きてるもの!」
「胸を張って言うな!」

自分の妹の胸とかお尻とか触り飽きてるって言えるこの人は何なんだろう。
もう勝手にすればいい…。
この人の百合はいつになったら消えるんだろうか。
正直、万年発情期なので、一緒に暮らしている身としては完全に慣れてはいるんだが、まだ半年程度しか働いていない亜理紗さんは、
いついなくなってもおかしくないんじゃないだろうか、と勝手に思ってはいるんだけど、最近それに亜理紗さんが慣れてきている節がいくつも見受けられるのだ。

まずメイド服など、その他諸々の悠希さんの趣味に対して、ほとんどの要求に応えている。