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除霊師~藤間道久の物語 1・藤間道久(1

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すでに廃墟と化してした。
これでは不良が溜まり場にしても仕方ないだろう。

「一応、現場は立ち入り禁止になっているんじゃが、このところは事件の噂もあって誰も近づかないんじゃ。
会社からすれば良いことなんじゃが、取り壊しの目途がたたんことにはどうにもならんのじゃよ。」
「なるほど。でも、建築放棄してからだいぶ経ちますよね?
その間取り壊そうとしたことはないんですか?」

そう、それが疑問だったのだ。建築放棄されてから10年以上経っているにも関わらず、
未だ取り壊されていないことが。
今回の事件以外に何かがあったとしか思えないのだ。
それは悠希さんも仕事を請け負った時から疑問に思っていたことだった。
俺の疑問に社長は曇った表情を浮かべながら答えてくれた。

「これは内密にしておいてほしいんじゃが、このマンションの下には、
昔、墓地があったんじゃよ。とても古い墓地で、身内の者もすでにおらず放逐されてのう。
それを壊してこのマンションを建てたのじゃが、それが間違いじゃったんじゃよ。
建築途中に不思議な事件が続出して、社員たちの体に良くないことが立て続けに起こった。
最初は偶然だと思っていたんじゃが、いつになってもみんなの体調が回復しなくて、
有名な霊媒師に見てもらったこともあったんじゃが、それでも駄目じゃった。
泣く泣く建築を諦めて、改めて新しい墓地を作ろうと思っておったが、
それも結局取り壊し中に事故が多発して中止してしまったのじゃ。
この土地に近寄ろうとしなければみんなの体調はすぐによくなった。
その霊媒師もここには悪霊がおる、と言い、“私にもこの悪霊は退治できない”とも言っておった。
それで結局10年以上もこの有様じゃ。それでもこの事件が起こるまでは何も起こってなかったんじゃよ。」
「なるほど、確かにここの空気は澱んでますね。今のこの時間だから平気ということでもなさそうです。
やはり社長はここまでにしておいてください。ちょっとここの幽霊は厄介そうだ。」
「そ、そうか?儂は専門家じゃないからわからんが、そんなにやばそうなのか?」
「ええ、何かあった時に自分の身以外守れる自信はないですね。」
「うーむ、仕方ないのう。現場は3階のフロアじゃ。3階は不良たちが暴れまわったのか知らんが、
部屋ごとの区切りはなくなっておる。見通しはよいが、その分相手も見通しが良い、