銀の絆
4
「ストラップ。あげるよ」
深夜の公園。しんと響くような静寂の中で、柚子と麻子はブランコに座っている。
麻子が膝に乗せた学生鞄から取り出したのは、ビーズとスワロフスキーでできたキラキラ輝くストラップだった。
柚子はそれを受け取って、その場で自分の携帯電話につけた。
「綺麗」
「うん。柚子が好きそうだと思って」
「ありがとう、麻ちゃん」
花が綻ぶように笑う。麻子はその笑顔に満足して、ウンと頷いた。
「実はお揃い」
麻子は携帯電話を取り出して、柚子に見せる。じゃら、と大量のストラップがくっついているが、その中に柚子に渡した物と同じストラップがぶら下がっていた。
何でもお揃いが好きだ。強く強く繋がれる気がするから。
それは柚子と麻子、共通の思いだった。
だから柚子は嬉しそうに微笑んだ。
「柚子と麻ちゃんは仲良しだもんね」
「そうだよ」
麻子は照れくさそうに髪をぐしゃぐしゃにして、それから立ち上がって柚子の前に立った。
「柚子、お礼は?」
言われて、柚子も立ち上がった。そっと麻子を抱きしめて、頭を撫でる。
「ありがとう、麻ちゃん」
頬にキス。麻子はそれを噛み締めるように目を閉じた。抱きしめ返す力は、強い。
痛いくらい抱きしめられて、柚子はぎゅっと唇を締めた。
「柚子」
「なぁに麻ちゃん」
「柚子。どこにも行かないで」
「行かないよ」
「嘘だ」
麻子の声が低くなる。柚子ははっとして体を離そうとした。そして離れた瞬間、物凄い力で頬を張られた。よろけて、そのまま倒れこむ。
「お前はいなくなるんだ!」
恐ろしい金切り声を上げて、麻子は泣き出した。