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銀の絆

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「ストラップ。あげるよ」
 深夜の公園。しんと響くような静寂の中で、柚子と麻子はブランコに座っている。
 麻子が膝に乗せた学生鞄から取り出したのは、ビーズとスワロフスキーでできたキラキラ輝くストラップだった。
 柚子はそれを受け取って、その場で自分の携帯電話につけた。
「綺麗」
「うん。柚子が好きそうだと思って」
「ありがとう、麻ちゃん」
 花が綻ぶように笑う。麻子はその笑顔に満足して、ウンと頷いた。
「実はお揃い」
 麻子は携帯電話を取り出して、柚子に見せる。じゃら、と大量のストラップがくっついているが、その中に柚子に渡した物と同じストラップがぶら下がっていた。
 何でもお揃いが好きだ。強く強く繋がれる気がするから。
 それは柚子と麻子、共通の思いだった。
 だから柚子は嬉しそうに微笑んだ。
「柚子と麻ちゃんは仲良しだもんね」
「そうだよ」
 麻子は照れくさそうに髪をぐしゃぐしゃにして、それから立ち上がって柚子の前に立った。
「柚子、お礼は?」
 言われて、柚子も立ち上がった。そっと麻子を抱きしめて、頭を撫でる。
「ありがとう、麻ちゃん」
 頬にキス。麻子はそれを噛み締めるように目を閉じた。抱きしめ返す力は、強い。
 痛いくらい抱きしめられて、柚子はぎゅっと唇を締めた。
「柚子」
「なぁに麻ちゃん」
「柚子。どこにも行かないで」
「行かないよ」
「嘘だ」
 麻子の声が低くなる。柚子ははっとして体を離そうとした。そして離れた瞬間、物凄い力で頬を張られた。よろけて、そのまま倒れこむ。
「お前はいなくなるんだ!」
 恐ろしい金切り声を上げて、麻子は泣き出した。
作品名:銀の絆 作家名:ハル