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学園を制し者 第二話

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「そして、もう一つ……犯人は全員ヒーローマスクを装着していたそうです」
「と、いうことは?」
「……ええ、犯行手口や特徴から生徒会では『学園制服部』の犯行としてこの事件を追っています」
「で? まだ、なぜこの『生徒学園ライフ支援同好会』に訪れたのか聞いていないが?」
みー姉はここで初めて少しだけめらうようなそぶりを見せた。
「生徒会では……この『生徒学園ライフ支援同好会』が『学園制服部』の実態ではないかと疑っています」
「証拠は?」
「今はありません」
「『今は』か?」
「はい、あとは私の直感です」
「………………」
方や含みのある悪魔のような笑顔で、方や天使のような慈愛に満ちた笑みで、お互いを牽制しあう。
「…………ふっ、いいだろう。思う存分調べて行くがいい」
しばらくして先に口を開いたのは狭山のほうだった。
「ご協力感謝します」
狭山に軽く会釈してから、みー姉は部屋に男子生徒を三人ほど招き入れた。
見たところ生徒会のメンバーのようだ。
男たちは部屋の中を捜索し(と言ってももともとのおいてあるものが少ないのですぐである)
俺たちを万歳させた状態でぽっけなどを調べてから……
『……何も怪しい物は出てきませんでした』
心底残念そうにみー姉に報告した。
「……そうですか」
「これで信じていただけたかな?」
勝ち誇った笑みの狭山。
俺はそんな狭山の顔を見ながら疑問に思った。
(……いったいどこに隠したんだ?)
狭山は確かにカツラを懐に入れていた。
(生徒会の人はしっかりと内ポケットまで調べてたみたいだし……)
「……まぁいいでしょう。お騒がせしました。今日はこれで失礼します」
みー姉は再度狭山に会釈し部屋を出て行こうとして、ふと、振り返った。
「それとは別に、狭山君。袖口のボタンはしっかりと締めたほうがピシっと見えてかっこいいですよ」
「……ご忠告ありがとう。では、こちらからも一つ」
「はい?」
「盗まれたものは意外なところから見つかるかも知れんぞ」
「どうしてそう思うのですか?」
「ふっ、俺の直観だ」
「……ご忠告ありがとうございます」
みー姉は風見山たちを連れて去っていった。
「……ふぅ……疲れたぜ……」
健太はブレザーの袖で汗を拭う。
「お前は何もしてないだろうが」
そんな健太俺はにあきれ目をくれてやった。
「馬鹿言うなよ! 生徒会長様と言えば、容姿端麗、文武両道、おまけに実家はあの『新井コーポレーション』! 大金持ちだ! そんな完璧を絵にかいたような人だぞ! 一緒の部屋にいるだけで緊張するんだよ!」
「……そんなもんかね」
「お前は身内だろ!」
「でも、血はつがなってねぇぞ」
「なお、いいじゃねぇか!」
前後で健太の言わんとしてることがずれている気がする。
まぁ、こいつは馬鹿なので仕方がない。
「ッんと! うらやましいよなおまえ!」
健太はうらみがましい目線で俺を見ている。
「あの人と俺の生活水準は違うよ」
「あぁ……そいや、お前は実家を出てボロアパートに住んでたな」
「……まぁな」
今、俺は実家には住まずに、アパートで独り暮らしをしていた。
これは俺が高校に入るときに親に頼みこんだ事だ。
母さんは終始反対していたが、親父の鶴の一声で俺は家を出ることを許される。
健太と狭山には前に家に遊びに来た時にそこらへんの事情は話してある。
「わかんねぇなぁ、帰れば、でっかい家とめちゃくちゃ美人な姉いるってのに……」
「俺にもいろいろとあるんだよ」
(……いろいろってほど大した事情でもないけどな)
「別に家族関係が悪いとかじゃないんだろ?」
「ああ、むしろそこらの家族より仲がいいと思うぞ」
今まで10年間、俺が新井家に引き取られてから、両親にも、姉にもとてもよくしてもらっている。
「せめてもうちっとましな家は借りれないのか? あのアパート今にもつぶれそうだったぞ……」
「仕送りをフル使えばマンションぐらいは借りれるけど……」
「けど?」
「あんまし親には頼りたくないんだよ」
お金もなるべくバイトをして必要な分は自分で稼いぐようにしている。
とはいっても高校生の稼げる額などたかが知れていて、生活費の大半は仕送りに頼ってしまうことになるのだが……
「……ふーん、ご立派なことで」
「この話はもういいだろ。それよりの報酬だ」
俺はあまりこの話をしていたくなかったので、話題を変えることにした。
「おぉ! そうだった、そうだった!」
俺と健太は今回の作戦の対価を狭山に要求しようとして……
「………………」
「おい? 狭山、どした?」
健太は怖い顔でドアの所を睨みつけていた狭山の顔を不思議そうにのぞきこんだ。
「……ふむ、やはりあの生徒会長は侮れんな……とすると、俺ひとりで次の作戦を決行するには…………」
「何をぶつぶついってんの?」
「む? なんでもない。気にするな」
そう言うと狭山は『ふぅ』と一息つき、俺たちに向きなおった。
「今回はご苦労だったな。お前たちのおかげで今回は作戦がうまくいき、この学園長のカツラを奪取することができた」
狭山は袖口からからカツラを取り出した。
「前置きはいいから早くしろよ!」
「……まぁ、まぁそう焦るな」
なぜか興奮状態に狭山をまくしたてる健太。
「さぁ! 受け取るがいい!!」
狭山はまたもや袖口から二枚の茶封筒を取り出す。
茶封筒にはそれぞれ俺たちの名前が書かれていた。
「ひゃっほう!」
健太は奪い取るようにして『六車 健太』と書かれた茶封筒を奪取、そのまま封筒の口を破り捨てた。
「……なんであんなテンションが高いんだよ」
「ふっ、奴はしょせん獣だったということだ」
俺は茶封筒から何かを取り出した健太を横目に茶封筒を受け取る。
「……うっほぉ! これは、これは……」
ニタニタと気持ち悪い笑みをこぼしながら何かカードのようなものを10枚ぐらい眺めている健太。
「何を見てるんだ?」
俺は後ろから健太の見ているものをのぞきこんだ。
「………………これは、盗撮じゃないのか?」
「ちょっ! なに勝手にのぞいてんだよ!」
素早い動きで写真を隠す健太。
俺が見たのは学園指定の競泳用水着を着た女子生徒たちのギリギリなアングルの写真だった……
(……いったいどうやってあんなものをとったんだよ)
俺はジトッとした目で健太と狭山を見てやる。
「ばぁかなことをいうんじゃない! どれも許可を取って取った写真にきまっているだろう!…………まぁ……新聞部用に資料が必要だと言ったのだがな……」
「おーい、きちんと聞こえてるぞぉ……」
「堪忍してくだせい! 堪忍してくだせい!」
健太はまるで役人にすがりつく農民のように膝をつき俺に哀願している。
「あぁ、うざい、うざい! 俺は別に取り上げるとも、先生に言いつけるともいってねぇよ!」
俺は涙目の健太を振り払う。
「本当か!?」
「ああ」
俺もいちいち告げ口をするほどまじめな生徒じゃない。
「しんちゃん、マジしんちゃん!!」
「意味わかんねぇよ!」
健太はどこかの宗教礼拝のように土下座して俺を崇めていた。
「てか、お前は何もらったんだ?」
今度は、がばッ!と顔をあげ俺に尋ねてくる健太。
「……学園の食券2週間分」
「はぁ? なんでまたそんなものを?」
作品名:学園を制し者 第二話 作家名:hirooger