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HOT☆SHOT

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第一話 Virgin☆Shot!  Stage2



    2

 着いた先は、山咲の部屋『歴史キャメラ開発室』だ。
「さ、中に入ってくれ」
「中に入ったはいいが、この狭い部屋の中で何するんだよ」
「ここじゃねぇ。こっちだ」
 山咲恵介は壁際に飾られた一枚の絵を取り外していた。
 取り外すと赤いボタンが現れ、恵介はそのボタンを押した。
 すると、大人一人が通れるほどの大きさの四角い穴が現れる。
「ぷっ、何これ? お前、いつの時代の人間よ? よくもまあこんな昭和ちっくなコテコテの細工……」
「いつ見てもこの仕掛け、格好いいな。お前のこういったセンスは抜群だな。山咲。ウチにも欲しいよ。こんなの」
「えぇ!?」
 小絵さん。今、なんとおっしゃいましたか?
「そうだろ? さすがは、小絵。違いのわかる女だね」
 二人は何か熱く語りながら、先を歩いて行った。
「何だあの二人。すげぇズレてんぞ。な? 凪咲」
「え〜、なんか凪咲、よくわかんなぁい」
「……俺も時々、君が社会人なのか大学生なのか高校生なのか、わからなくなる時がある」
 自分を凪咲と呼ぶところが、特にそうだ。このギャップが堪らないらしいのだが。
(「虎康先輩、私、このような仕掛けを見るのは初めてです。これが昭和の雰囲気というものなのでしょうか。何かノスタルジックなものを感じますわ」)
 脳内変換でお嬢様になった凪咲は、きっと、こんな感じだろう。すごく新鮮だ。
 だが現実は――、
「やだなぁ、もう先輩ってばぁ。凪咲はもう大人ですよ〜。なんでしたら調べてみてもよろしいですよ。はい、どうぞ。せぇんぱい」
 と言って、凪咲は唇を濡らして短めのスカートの端を右手で持ち上げ、もう片方はブラウスのボタンに手を掛けていた。
 つくづく思う。怖いな本当の天然+露出癖って。
「あぁん、どこに行くんですかあ?」

「ここは?」
「ここは、俺たちのミッションルームであり、お前が旅立つ場所だ」
「って、何も無いじゃん。で、何? なぜこんな所に、このボロい車? って、うわ!」
 小絵が虎康の体を払いのける。
「おお、これはあの名作映画。パック2ザフルーチェに出てくるチロリあ〜ん号ではないか!」
「さっすが小絵。輝いている女は違うね。そうだ! これはまさしく、チロリあ〜ん号の生まれ変わりと言ってもいい、我が国が誇るタイムマッスィーン。『チロリあは〜ん号』だ!」
「お前らホンっト、バカ!」
 次の瞬間、虎康は天井を見ていた。
 チロリあは〜ん号と呼ばれたその車は、本当に走れるのかさえ疑わしかった。中古市場に出しても売れずたらい回しに合いそうな、エコとかは無縁そうなフルサイズSUVを元に改造されたものだった。
「うわ〜、なんか超絶、格好悪そうですけど、凄そうですねぇ」
 凪咲……あなたって意外に舌がアレですね。
「うん、凄そうだろ! 凪咲ちゃん。外見も凄いけど、中身はもっと凄いんです。あ、これって凪咲ちゃんと一緒だね。アハハ」
「あは。いやだぁ〜もう山咲さんってば。どこ見て言ってるんですかぁ。アキレス腱切断して東京湾に沈めてやりますよ。もう。キャハ」
 早くこの場から立ち去りたい。
「で、早く俺は出発しなきゃ、いけないんじゃなかったっけ?」
「おぉ、そうだったな。悪い悪い。んじゃ、早速だが運転席に座れよ」
 虎康は起き上がり、言われるがまま運転席に座った。見たことの無い計器がいくつも並んでいた。
 それと半透明のモニターがフロントガラス全体を覆っていた。まあ一応、可動式のようだし収納も可能なようだが。
「恵介、何だこのモニター? これじゃ前をまともに見ることできないじゃん」
 すると、そのモニターにスイッチが入り車のスピーカーから、恵介の声。
『運転する必要ないから大丈夫。シートベルトを締めたら、あとは何もしなくていいぞ』
 モニターに山咲恵介の顔が映っていた。
「そういうものなのか」
 よくわからないが、とりあえずシートベルトを締める。
 三メートルほど離れた所で、恵介と凪咲はコンピュータが何台も並んでいる大型のデスクで何やら画面を見つめていた。
『助手席を見ろ。バッグがあるだろ? そのバッグの中に【キャメィーラ】が入っている』
「あ? キャ、キャミミ、キャメラだろ?」
「違う、バージョンアップしたんだ。だから、キャメィーラ」
「いつバージョンアップしたんだ?」
 もういい。放っておこう。放置プレイってやつさ。
「で? このカメラはどう使うのよ?」
『それはまた、着いてから教える』
「行き先はどこなわけ?」
『えっと? あれれ? 先輩、少しお待ちくださいね。ボソボソ――行き先、どこでしたっけ?』
「おいぃぃぃ! 聞こえたぞ今の! これ国家プロジェクトだよね?」
『ちょっと待ってろ。今、作って決めるから。あ、じゃなくて司令部に確認するから』
「はあ? 国家プロジェクトなんだよねぇ、これ? そんなんでいいの? はぁ、仕方ねぇな……ん? 作る?」
 しかし、なんかすっかり馴染んでるんだけど、凪咲ってこのプロジェクトのメンバーじゃなかったよな。
 まあ、それはいいとして、さっきから、小絵の姿がない……。
 虎康は助手席越しに恵介のいる方を見た。
「なあ、俺たちのリーダーは、どこ行った?」
『お前の傍にいないか?』
「え? 見当たらないが……」
 室内を見渡すも、他に人はいないようだった。どこに行ったのだろうか。
 コロコロコロ。スピーカー越しに何かを転がす音が聞こえる。
『お、行き先が決まったぞ。ええっと……』
「コロコロコロって音がしたぞ。何だ?」
『気にするな。ボソボソ――あ、駄目だよ凪咲ちゃん。そんなに転がすと鉛筆落ちちゃうよ』
「……お前ら、くじで決めてない?」
『ええ、司令部に確認したところ、記念すべき行き先の第一弾はアキレウスだ!』
「ウソつけ! 司令部っつう所に確認した形跡、まったく無かったぞ。お前らずっと、机の上見てただろ。こっから丸見えなんだよ! あと何? アキレウスって? どういうことよ。神話だろ?」
『だからだよ。神話だからこそ証明する価値がある。この歴史を解き明かしたらお前も、英雄の仲間入りだぞ』
(英雄……。おいおい、俺はそんなのは興味ないんだぜ?)
「お、おぉ! そうだとも! 俺も妥当な路線だと思うね。うん。で俺、この格好でいいの?」
『大丈夫、大丈夫。着いたら必要な物資、すぐに転送するんで。あと今、首相やプロジェクトのお偉いさん達も見ているようだ。しっかり、やれよ』
「OK。なんか気合入ってきた」
 コンコン。
 運転席の窓をこずく音。
 振り向くと、探していた女性――小絵の小さな顔があった。
 虎康は窓を開け、
「今までどこに行っていた? リーダー」
「ずっと、ここにいた」
「え? そうなのか? 気付かなかった」
「気付かなかったのか、気付か、ない……まあいい、行く前に、お前に訊きたいことがあったんだ」
「……ああ、何だ?」
「お前、これに見覚えないか?」
 そう言って、目の前に差し出された物――、
「お守り? これがどうかしたのか? ん? でも、待てよ……」
「見覚えあるのか? じゃあ、やっぱりお前が私の……」
作品名:HOT☆SHOT 作家名:櫛名 剛