HOT☆SHOT
直径二〇メートルはあろう球体。この大きさは新記録だ。広場に集まっていた全員が目の前に現れた謎の物体を見ていたに違いない。
静かだった。遙か上空を飛んでいる鳥の鳴き声が、かすかに聞こえてくる。
『今、どうなっているのか、よくわかりませんが久々の星色麻亜耶――』
「イッキまーーーーーーーーーーーーーーーっす!」
まわりの景色が白一色へとフェードアウトしていく。
虎康が目覚めた時、あたりはまだ白一色だった。声も聞こえない。
「おい、誰かいるか?」
虎康が先の見えない空間に向かって、問いかけるが返事はない。
虎康はマキポンがいるだろう場所へとまっすぐ向かった。
『お、虎康、復活するの早いな』
「恵介か?」
恵介はああ、と言って、
『今回のサンダーかなりやばかったね。お前はなんか耐性がついたのか、三分も経たないうちに復活したようだが、他の人間はすぐには起きなさそうだな。とりあえず、巻き込まれたのお前とマキポンだけだから問題ないね』
「ありありだろ! クッソーどこにいるんだ」
煙幕が晴れたとき、マキポンはすぐに見つかった。
彼は虎康の足元で倒れていた。
彼の着ていたニワトリの着ぐるみはほぼ全焼していた。
虎康はその着ぐるみをひっペ返し、火刑台の上にそれを投げ捨てる。そして、燃えカスや灰をその上にばらまいた。
最後に、虎康はマキポンの頭に奇跡的に残っていた赤いトサカのパーツを拾い上げると、最後のトッピングとして火刑台の上に添えた。
「あばよ、ミカエル」
トサカにさよならを伝えると、虎康はマキポンの腕を掴み肩にかけ、遠くに見える三人の女性の方へと一歩一歩踏みしめて、前へと進んだ。