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「ですが、あなたさまは写真撮影のご経験はありまして? 麻亜耶」
「う……それは無いわよ」
「撮影というものは、意外と難しいのですよ。ミッションを成功させるには、虎康さまとマキポンは必要ですわ」
「わかったわよ。だけど、こっちの変な格好をした男はどうするの?」
『麻亜耶っち』
 ヘッドセットに山咲恵介の声。
「山咲。あんたね、いつかそっちの時代に行ったら、とっておきのサンダーを喰らわしてあげるから楽しみにしてなさいよ!」
『いやあ、遠慮しておくよ。そのう、お詫びに美味しいお菓子屋さんに連れて行ってあげるから。熱々のフォンダンショコラとか。ね?』
「フォンダンショコラ!? ふん、そんなものであたしを買収できると思ったら大間違いよ! いい? あたしはね。物で釣られるほど安い女じゃないわ!」
『中からチョコレートがトロ〜リ』
「チョコがトロ〜リ……」
「よだれがトロ〜リと出ていますわ」
「ハッ」
 麻亜耶は腕でよだれを拭うと、
「ふん、トロ〜リチョコなんて興味ないの。だけど、あなたがどうしてもって言うなら食べてあげてもいいけどね。とりあえず、お仕置きは後で考えてあげる。わかった?」
「肝に命じておきます。お姫さま」
「ふふん、いい心構えだわ。しっかりと肝に命じておきなさい。それで何の用?」
 ヘッドセットから安堵のため息が漏れていた。
『それがですね、その目の前に倒れている男だけど、どうも王太子っぽいよ』
「あらまあ、そうなのですか? こんがりなのに?」
「ふうん? 全然、威厳も何も無いわね。ただの変態じゃない」
『とりあえず、三人とも起こした方がいいんじゃないかな? 特に王太子がいないことには謁見そのものが成功しないよ?』
「そうですわね、それは大変困りますわ。それではチームメイトとして――」
「さすがクロエね。チームメイトのマキポン起こしてあげるんだ?」
「いいえ。マキポンを起こすのは麻亜耶。あなたさまですのよ。わたくしは虎康さまを起こさないといけませんわ」
「ええ? なんで、あたしがフランスチームの人間を起こさないといけないのよ?」
「もうお忘れになったのですか? 今回のミッションのチーム編成を」
「あむぅ。そうだったわね」
「はい、そうですわよ。それでは起こしましょう」
 クロエは虎康の傍へと向かった。

「起こすって、こんな状態でマキポン起きるのかな? おーい、マキポン起きてよ」
 麻亜耶が声をかけるも、何の反応もなし。
 麻亜耶は地面に生えている草を一本抜き取り、それでマキポンの鼻の穴を二、三回チロチロと擦ってみた。
 すると、
「ふあ、ふぅあ! ふああ! ぶぅ……」
 マキポンは何度もクシャミをしそうになったが、直前の所で、何事も無かったかのような表情に戻る。
 その様子に、麻亜耶は「ぷぷっ。面白〜い」と言い、何度かそれを繰り返す。
 それでもマキポンは起きる気配も無く、麻亜耶は次第に苛立ち始め、
「ちょっとぉ、起きないじゃない。起きなさいよ」
 ぺち。っと、軽く頬を叩く。
 パチン。
「お・き・て!」パチ・パチ・パッチン!
「起きろ!」バチーン、バチーン、バチーン。
「オラオラオラオラ――」
 軽快なパチパチ音が、リズミカルに響く。
「あらまあ、そんなことでは殿方は起きませんことよ?」
「なによ? じゃあ、クロエは虎康を起こせるの?」
「それはやってみないとわかりませんが、わたくしなりの方法で起こしてみますわ」
「方法って?」
「『北風と太陽』というお話をご存知ですか?」
「そのお話なら知っているわよ。北風と太陽が力比べで、どっちが旅人の上着を脱がせることができるかって勝負するお話でしょ?」
「わたくしはその太陽になるのですわ」
「太陽?」
「このわたくしのGで!」
 そう言いながら、クロエは地面にちょこんと正座すると、膝の上に虎康の頭を乗せた。
「さ、旦那さま。お起きになって」
 クロエの細くて柔らかい指先が虎康の頬を撫でる。
 更にクロエは虎康の頭を打き抱えると、その頭を彼女が言っていたGと呼ばれる場所へ持っていく。
「あ、あんたちょっと、なにやってんのよ!」
 虎康の顔は、クロエのたわわに実った胸の谷間に、完全にうずくまっていた。
「あふぅ、あん、旦那さまの生暖かい息が……さ、お起きになってくださいな。旦那さま」
 クロエもまた、その透き通るような白い頬に桜色の丸い艶を浮かび上がらせていた。
「なにしてんのよぉ、この変態シスターは……」
「お静かに。ほら、もうすぐ起きそうですわ」
 そして、虎康は目覚めた。
「よかった。お元気そうで。わたくしの旦那さま」
「わたくしのって――むう! 起きたのなら、もう離れたらどうなの?」
 麻亜耶がクロエに突っかかる。
「うふふ。お目覚めはいかがですか? 旦那さま」
「――あ、クロエ。もしかしてクロエが助けてくれたのか? なんか、俺、太陽の光の中で眠っていたんだよ。なんというか、やわらかい感じがした。しかも、その太陽って一つじゃないんだ。二つあったんだよ。なんか良く覚えてないけど、すげぇ気持ちよかった」
「まあ、その太陽ってもしかして、こんな感じでございませんでしたか?」
 むにゅむにゅっ!
 ぷはぁ!
「おお、まさしくこれだ! いや、やっぱ待て。よくわからなかった。なんかあ、良く思い出せなかったんだよね。だから、もう一度、やってくれないか? ゆっくりとわかりやすく」
「お気に召したのでございますか? 大変、恥ずかしいのですが旦那さまの願いですもの。何度でもして差し上げますわ」
「ちょーしにのんな!」
 ドゴッ!
 麻亜耶の拳が虎康の顔面にメリ込んでいた。
「ふふ。でも、これで起きましたわね。麻亜耶も早く起こさないと今回のミッション、負けになりますわよ」
「あ、そっか。これも勝負のうちだったんだ。だけど、さっき殴っても起きなかったし、どうすれば……」
 その時、ヘッドセットからお馴染みの声が聞こえてきた。
『麻亜耶も太陽になっちゃえばぁ?』
「その声は凪咲!」
『そうでぇす。凪咲ですよぉ』
「あんたねえ、人ごとだと思って軽く言ってくれるわよね。なんであたしが太陽なんか」
『自信ないんだあ? しょせんDじゃ太陽は勤まらないものねぇ?』
「あむぅ、そんなことやってみないとわからないでしょ!」
「麻亜耶。凪咲の挑発にのることなんてないんだぞ」
「虎康は黙ってて。もう時間ないし、今のあたしに考えられる方法はこれしかないのよ。Gなんかに絶対、負けないんだから。Dの品格っていうものを見せてあげるわ!」
 いや、こだわるのそこじゃないだろ。
 麻亜耶は突然、上着を脱いで更にタンクトップを捲り上げた。すると、迷彩柄のブラが彼女の胸の形とともに顕になる。
 そして、麻亜耶は正座から両脚を崩してぺたんと座り、マキポンの頭を膝の上にのせる。
『ふぅん。ボインじゃない分、より生に近い感触で勝負するんだあ?』
「そうよ。悪い? でも、これで確実に起きるはずよ。まあ、引き分けなんてのはまず無いから、あんたの出る幕は無いけどね」
『うん、そうかもしれない』
「え? 凪咲……? なにどうしたの? 突然、素直になって」
作品名:HOT☆SHOT 作家名:櫛名 剛