小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

HOT☆SHOT

INDEX|30ページ/39ページ|

次のページ前のページ
 

第二話 eXtreme☆Shot!  Stage2



    2

 一四二九年三月。
 シノン城はロワールの古城の中でも最も古く、その紀元は五世紀にまで遡るらしい。
 ロワール川の支流であるヴィエンヌ川の中洲にそびえ立つその大きな城へ入るためには、堀にかけられた石造りの橋を渡って行かなければならない。
 渡って行かなければならないのだが、
「なぜ俺たちはこんな格好をしないといけないわけ?」
 すでに渡っていた。
 どうやってか?
「早くそのウェットスーツを脱いで、これに着替えてくださいな」
「ちょっとクロエ。ここで着替えろっていうの?」
「では、あの草陰に」
「ウィ。僕たちはここで着替えるよ。行ってらっしゃい」
「絶対、覗かないでよね!」
 マキポンに見送られながら、クロエと麻亜耶は木立に囲まれた場所へ移動する。

「ここで着替えましょうか?」
「大丈夫かな……?」
 クロエと麻亜耶の二人はスーツを脱ぎ始める。が、なかなか思うように脱げない二人。
「クロエ。これってどうやって脱げばいいの?」
「そうですわね。少し難しいのでわたくしがお手伝い致しますわ」

 なんとか、肌にぴたっと張り付いたウェットスーツを脱ぐと、二人はバッグから取り出した下着に着替え始めていた。
「寒すぎだよぉ、でも迷彩柄のブラとパンツもこうやって着てみると可愛いね」
「よくお似合いですわ。それに――」
 すすすっ。
 麻亜耶の背後に廻り込むとクロエは、
 むにゅ。
「ひゃん! ちょっと――」
 麻亜耶のふくよかな胸を触っていた。
「あらまあ、意外とありますのね。ほどよい弾力、感触もいい感じですわ」
「ひゃああ」
 ほんの少しだけ、あどけなさが残る少女の白い頬にうっすらと薄桃色の艶が浮かび上がり、目尻から透きとおったガラス玉のような涙が浮かび上がっていた。
 少女の意思とは関係なく、すらりと伸びた細い足が内側に向く。
「ふふ、すごく敏感ですのね」
 クロエは迷彩色に染まった膨らみをなぞるように、指を這い回らせ、余った右手を胸下から腰へと滑らせていく。
「ちょっ! そこはお尻。もう、いい加減にあ――」
 少女は更に顔をほんのりと赤く染め上げ、太腿をモゾモゾと擦り合わせていた。
「うふふ。スタイルも凄くいいですわ。判定が出ましたわ。Dですわ」
 麻亜耶は、はぁはぁと肩を揺らしながら、
「ちょっと、なに勝手に測定しているのよ。だいたい、あんたはいくつなのよ?」
「わたくしですか? わたくしのは、Gはありましてよ」
「ぐむっ。G……ね、G。よかったわね」
「はい」むにゅ!
「ぁや! 揉みながら返事するなあ!」
「ごめんなさい。凪咲とはいつもこうやってコミュニケーションをとっていまして、それに今も、山咲さまからリクエストもありまして――」
「は? 山咲からリクエスト?」
「はい、リクエストですわ。アクセスアップのためと仰っていましたわ」
 と言って、クロエは麻亜耶から離れると頭に装着していたヘッドセットを麻亜耶にぴとっと装着させる。
 すると、麻亜耶の耳元に山咲の声。
『大漁大漁ガハハハ! クロエっち、凄いよこれは! もうこのアングル、執拗な責め具合。まさにダーク。クロエっちプロデュースの黒エッチ! なんちってぇ。ガハハ! この調子でどんどん行ってみよう!』
「おい、あんた。ちょーご機嫌じゃねぇか。ミッション中にナニやってんだ?」
 麻亜耶は拳をグーにしてプルプル震わせていた。
『何って、どうしちゃったの? あ、そうだ。虎康とマキポン! しっかり撮ってるか? もうちょっと頑張って、近づいてみよう。動画の方も忘れずに正面からよろしくね!』
『オッケー』
『ウィ』
 麻亜耶は正面前方を見た。草むらから迷彩服を着た馬鹿二人組が、地面を這いずりながら現れた。二人とも鼻から顎にかけ、鮮明な赤ラインを二本引いていた。
 そして、もう一人。立派な身なりをした若い男が虎康の隣で、やはり鼻から赤ラインを二本引いてカメラを構えていた。
「僕が下を中心に撮るから、虎康は上を頼んだよ」
 マキシムは真剣だった。
「余はこのまま、ズームというものを駆使しこの画面を見続ければ良いのじゃな?」
「ああ、そうだよ。そのまま液晶画面を見てピンポイントでズームアップ! だ。しっかりやれよ。この野郎」
 虎康は立派な身なりをしていたその男の頭をポンポン叩いていた。
「ほう、ズームアップってどこにズームするわけ?」
「そんなの決まってるじゃねぇか? ボインだよボイン。ボインだけにDはひとまず置いといてGを重点的に狙っていかないとな」
「ほおう、そんなにあたしの胸って魅力ないわけ?」
「いや、あるよー。あるんだけどさぁ。高い山がそこにあれば登ってみたくなるだろ。男ならわかるだろ? 山咲」
「だ、あ、れ、が山咲ですって?」
「なに言ってんの、山咲っていったらお前しかいないじゃ――ん!」
 虎康の黒い瞳に、迷彩柄の紐パンとブラを身に付けた少女が映っていた。
 亜麻色のショートカットが風も無いのに、逆立ち始めている。
「あれ?」
「あれ。あれってナニ?」
「あれはぁ、そのぉ――」
「で、こいつは誰?」
「ああ、こいつですか? いやね、こいつがどうしても撮りたいっていうからさ。いや、俺はすごく嫌だったんだよ。全く興味ないって言えば嘘なんだろうけどさ。そんなの社会的に許されないじゃん?」
「余はそこで厠をしておったら、突然、こやつらに呼び止められ、『このリアルな絵をやるから、お前、ちょっと来い。来れば天国が見れるぞ』と言われ来てみただけじゃ。でも、本当にこんな身近な所に天国があったとは余も知らんかった。でかしたぞ平民。余はお前に、あそこに見える土地をくれてやるぞ」
「だからあ、俺は平民じゃないっつうの。お前、いつまで王様気分でいるんだよ。いい加減、目ぇ覚ませよ」
「余は、ばっちし覚めておるぞ。で、いつくれるのだ? これ以外にも、もっとすごい絵を余にくれると約束したであろう?」
 と言って、地面に写真をばらまいた。
「おお、これは凄いM字開脚だね。ストライプが眩しいくらい輝いてる」
 マキポンが見入っていた。
「お前ら全員、目ぇ覚ましてないようだな。あたしが覚ましてやるよ」
 麻亜耶の人差し指から巨大な光の球体が現れていた。バチバチと激しい音を立てている。
「エクス――」麻亜耶は指先に渾身の力を込める。
 赤ラインが目印の男たちは全員、青白い光の中に包まれていた。
「トリリリィィィィイイイイイイイイムッッッ!」

 巨大な光が消えた後の大地に、こんがりと焼き上がった男たちの姿があった。
「自業自得よ」
 完全に気を失っているとはいえ、三人とも、かろうじて生きているようだった。
 そんな男達を横目に麻亜耶とクロエは、着替えの続きを始めていた。
 下着と同じ迷彩柄のズボンをお尻までキュっと上げ、アーミーブーツを履く。
 ブラの上からオリーブ色のタンクトップを着て、更に上着を羽織る。とりあえず、これで着替えは完了だ。かなり肌寒いが。
 そして、最後にヘッドセットを装着する。
「もう間もなくジャンヌが到着する頃ですし、そろそろ会場に向かわないといけませんわ」
「こいつらなんか放っておいて、あたしたちだけで行こうよ」
作品名:HOT☆SHOT 作家名:櫛名 剛