HOT☆SHOT
「う、うん。頑張ってね」
すぐに顔を下に向ける。
「麻亜耶……」
「な、なあに?」
「誰が勝っても負けても引き分けても、俺たちって今まで通りだと思うんだ。何も心配することないと思うんだよ」
拳を握り締め熱く語る虎康。
「え、え? 俺たちって虎康とあたしのこと……? 虎康……そんなにあたしのこと……」
曇り空に突然、太陽の光が差し込んだように少女の顔がぱあっと明るくなる。
麻亜耶は「虎康ーっ!」と、両腕を広げ虎康の胸に飛び込んだ!
だが、
『せ〜んぱ〜い』
「ん? お、凪咲じゃん」
虎康はくるっとモニターへ体を向けた。
と同時に、虎康の背後で奇怪な音が二つ。
ぐしゃ! ぐき!
『あれ? メス亡霊、それは何のポーズですかぁ? アザラシさんですかぁ? うぉっうぉっ。キャハ』
頭から飛び込んでいた麻亜耶の体は、腰から見事に折れ曲がり両脚が天井に高く伸び上がっていた。
麻亜耶は起き上がると頭をブンブン振って、モニターを睨めつけた。
「こんのぉ〜。いっつもいつもあんたはぁ。邪魔してくれるわね」
『ん〜? そんなに怒ると小じわになっちゃいますよぉ。アザラシちゃん』
虎康の背後から麻亜耶は猫のようにフーフーと怒っていた。
「で、どうしたのさ。凪咲」
『あ、はい。もうすぐ目的の時代に着きますのでえ、山咲さんが送ったヘッドセット準備してくださいねえ』
「わかった。じゃあ、準備しようか」
「う〜、後で続きやるからね虎康」
「うん? 続きってなんの?」
「むっ、その、抱き……ふん! 何でもないわよ。行くわよ!」