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BAM

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とある都市に閑静な住宅街があり、
その中心街を抜け数キロ先の高台に向かうと自然豊かな場所があった。

優しい日差しが縦横無尽に降り注ぐ広大な公園。

ここは、一部の若者達からはデートスポットとしても有名な場所。

その公園から西に目を向けると、キュートなデザイン画が施された一風変わった建物が見える。
それが、元ラブホでもあったナイトフォールビル。
現在はアパート「BAM」として威風堂々と住人の帰りを待ちながら聳え立っていた。

玄関の門柱を抜けると左右十数台は置ける程の駐車スペース。
左奥の建物付近には駐輪施設。
右側にはなぜか古びたコカコーラと書かれた木製の赤いベンチ。
周囲には色とりどりの観葉植物のプランターが置かれ癒し空間を醸し出している…

ぷぷっ、ねぇ亜っちゃん、どう。こんなナレーション。
良くない。帳、アパートのナレーションに挑戦す。
なんて感じで…ねえ、聞いている?


「そろそろかな」
無視かよっ…
亜っちゃんが右腕の時計を見て呟く。
何がそろそろ、ねえ。
帳が猫パンチをカマそうとした時、遠くからスクーターの軽快な音が聞こえて来た。
ん、聞き覚えのあるエンジン音。
緩やかな坂道を上って来たのは…あっ、門前さんじゃん久しぶり~

ハーフメットにシルバーのゴーグルを外した門前さんが「よっ」と、軽く右手をあげる。
サラっとしたセミロングの茶髪が靡く。

と、いつもならこんな感じなのだけれど、いつもより髪の毛が重苦しい印象。
それに、なんか香が違うような。まっいっか。

「オーナー。今日から世話になるよ。帳もよろしくな!」
亜っちゃんにそう告げると門前さんは帳の頭を撫でてくれた。

えっ、最初の住人って門前さんだったの、エヘッそれは嬉しい。
よろしくね。

ってそうじゃない、さっきから気になっていたんだけど。
後ろに居るモコモコでライオンみたいなワン子は何。
それと、バイクの籠の中に居る、ちびっこいけど、何かふてぶてしいニャン子はどうしたのさ。

作品名:BAM 作家名:槐妖