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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガールEp:1 まとめ

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3.



「結婚記念日、おめでとうございます。お父様、お母様。今日の日を祝って、お二人の肖像画を描いたんです。贈り物にしては粗末かと思いますが。どうか、受け取ってください」
 父ジュリアス・ダンデライオンは、その絵をしげしげと眺めてから感想を漏らした。
「いいや、そんなことはないよ。贈るという気持ち、それが一番大事なのだから。品がなんであるかは二の次以上だ。いやぁ、でもこれはすごい。古今の画家にも負けず劣らずの傑作だよ。ミミリはお母さんの才能を受け継いだのかも知れないねぇ。ありがとう大事にするよ」
 ミミリが描き上げた油絵は、それは見事な出来栄えだった。
 麻布のキャンバスには、椅子に座り、微笑む母フィオネリア。その隣には威厳に満ちた、父ジュリアスの立ち姿がある。筆使いは実に精緻で味わい深く、明日十歳を迎える子供が描いたものとはとても思えない。
「えへへ、喜んでもらえてうれしいです。お父様」
 母フィオネリアが腰を曲げて、ミミリの頭を優しく撫でる。柔らかな母の手の感触に、ミミリは幸せそうに目を細めた。
「ありがとう、ミミリ。大切にするわ。あとで額縁に入れて、居間に飾っておきますね。あぁ、そうだわ。明日は貴方の誕生日だったわね。お返しは何がいいかしら?」
「いえ、お母様。私は、お二人がいるだけで、今のままで十分幸せです」
「まぁ、この子は。うれしいことを言って。ふふふ」
 マジェスターは<M研>の生育施設にて出生後、GUC(銀河団星間連邦)政府が公募した身元引受人。つまりは里親の元で十三年間過ごす。
 マジェスターの里親は、その個体が持つ性格と長所を伸ばすのに適しているであろう人格と環境を持つ人物が優先的に指名される。
 その選定基準で言えば、ミミリは人間的素養に恵まれた、町の名士であるダンデライオン夫妻の元に預けられた。
 ダンデライオン家で過ごした日々は、彼女の生涯の中で、最も優しく幸せな時間だった。