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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
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マジェスティック・ガールEp:1 まとめ

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 粛々整然という凛だったが、その表情は憤怒に曇っていた。
「そうだなぁ。果実は未熟な方より、熟れてるほうがいいって話しさー」
『あ、しまった』と、ヒューケインが思った頃には遅かった。
「なん…だと…(ビキビキ)。私が、旬を過ぎた熟女ババァだと言いたいのか?」
「どういう結びつき!?違いますっ!被害妄想酷すぎでしょッ!」
「うわぁ…卑猥な例えですぅ。エッチですぅ―…」
『やだぁ、キモイ』という目線を投げつけるミミリ。
「そう連想するミミリちゃんのほうが、よっぽど卑猥だよ!?」
「ほう。じゃあ聞くが、マイブラザ―。熟女と幼女だったらどっちが好きだ?」
「お前…、ちょっとそれは例えが極端すぎないか…(汗)」
「それなら仕方ない」と凛が独りごちた。
「ふむ。じゃぁ貴様はロリコンということでいいんだな、わかった。明日の学園プランタ
リアタイムズの一面の見出しは決定だな。『リミテッドテン:ヒューケイン・D・プラタナ
スはロリコンだった!?プランタリア一の伊達男(役立たず的な意味で)に隠された性癖
に迫る』よし、これでいこう」
 『うん』と頷く凛。
「『これでいこう』…じゃねぇよ!たまに俺の変なゴシップ記事が学園新聞に載ってるの
って実はお前の仕業(リ―ク)だったんだな!?」
「バカめ、今更気がついたか」
 えっへんと大きな胸を張る凛。
「どうだ。答える気になったか?」
「絶対、罠に嵌める気だよなお前。やだ、絶対に答えねぇ」
 意地でも答えないつもりのヒューケイン。
 それを見て、凛は「ちっ」と舌打ちし、携帯端末を取り出し電話をかけた。
「もしもし。…新聞部か。あぁ、私だ。いいネタがあるんだが…」
「うぉぉ――いっ!!わかった、わかったよ。答えればいいんだろっ!」
 ヒューケインは、慌てた様子で凛の端末を取り上げた。
「ふん、このダークマターの残りカスめが。素直に最初からそう言えばいいのだ」
「ったく、お前がそうさせたんだろうがよ」
 と言って、ヒューケインは凛の端末を放り投げて返した。
「では、聞かせてもらおう」
「いっとくけど、絶対に罠に嵌める気はないんだよな?」
「くどいぞ。いいから答えろ」
「へいへい。まぁ、どっちかと言えばそりゃぁ〜、熟女のほうだな」
「なるほど。じゃぁ、年下の子と、ミミリ君ぐらいの子なら?」
「微妙な質問だな。まぁ、年下の子…かな」
 その一言を聞いて、二人はサァ―と顔を青ざめさせて後ずさった。
「うわっ…やっぱり、ロリコンじゃないか」
「やっぱりロリですぅ―(((TДT))))」
「うるせぇよ!どうあってもロリコンに仕立てあげる気だろ、テメェ!全力で嵌める気ま
んまんじゃねぇかよ、この嘘つきッ」
「悪い、すまない冗談だ」
「どこまでが……」
「では、私と熟女だったらどっちが好きだ?」
「またかよ…。なんか質問に作為的な悪意を感じるんだが、さっきから」
「黙れ、答えろ。二択だ。さもなくば…」
 凛は『新聞部にリ―クするぞ』と携帯端末をちらつかせた。明白な脅迫である。
 ヒューケインにとって、それはとても答えにくい質問だった。
 ――凛だと言えば、近親趣味のシスコンのレッテルを貼られ。
 熟女だと答えれば、ロリコンの上に熟女趣味のレッテルを貼られる――。
 ここは、どっちつかずで曖昧に濁したほうが無難そうに思えた。
「そりゃぁ、どちらとも言えねぇな。あえて明言は避けるぜ。少なくとも、幼女趣味はねぇよ」
 『あ゛ぁっ?』と眉間に皺を寄せる凛。
「二択だと言ったはずだがな?とうとう言葉も分からなくなったか、この愚弟。略してゴミめ。そんなに『作業』されたいか?」
「するなするな。つか、全然略になってねぇし…。ったくよー、どうしろってんだよ…」
「素直に、言われたまま答えればいいんだ。次に断れば、貴様の呼び名がゴミから『゛』になるぞ。そうだ、学園の名簿から住器登録まで、ちゃんと名義変更しといてやる。
ヒューケイン・D・プラタナスの名前を消して、『゛』と差し替えてやろう。明日から、お前の名前は『゛』だ。役所や病院、店で呼び出される度に『゛』様ー。『゛』さんー、と呼ばれるんだ。どうだ、嬉しいだろう?きっと皆困惑した顔で、その名前の主を目で追って探すに違いない。そしてお前は、顔を赤面させて素知らぬ振りを決め込むんだ。
誰だか一発でバレバレだな。よかったな、より一層プランタリアでの知名度があがるぞ、『゛』様(ニッコリ)」
 最後を満面の笑顔で締めて言う凛。
「シュ―ルすぎるだろッ!そんなんで有名になりたくもねぇよ!第一発音に困るしッ!」
「いちいち、ツッコミの細かい奴だ。黙って答えろこの『゛』が」
「あ―、あ―、わかったよ。言えばいいんだろ、言えばよぉ―」
 ヒューケインは一瞬押し黙り、
「…その…お前だよ…凛」
 少し気恥ずかしそうに言った。
「な…!おまえ」
 その突然の告白にも似た一言に凛は顔を赤らめ、狼狽えの表情を見せた。
(もしかして、これって…告白です?。キャ━━━━(゚∀゚)━━━━!!禁断の愛ですぅっ!?)ミミリは心のなか、一人で興奮し、高まっている。
「…改めて言われると…やはり、困るな」
 儚げな表情を浮かべ、独りごちる凛。頬がほんのり赤い。
「凛…」
(ドキドキ)
「やっぱり貴様は、私が熟女だと言いたいんだなぁぁ――――!」
「ちょッ!ちげぇ―――てッ!なんでそ―なるよ!?」
 凛の体から怒りのオ―ラが迸る。
「”私=早熟ババァ少女=熟女=熟れた果実=私=熟女”。ということだろ、貴様の中ではッ!人をそんな風に定義しておいてしらばっくれる気か、この『゛』ッ!」
「意味分かんないしッ!つか、いつまでそのネタ引張るのっ!?」
 凛は鼻息を荒くして、どこからか取り出した刀をスラリと抜いた。
「よし切る。今すぐ切る。よしマイブラザ―、そこに直れ。今すぐ『作業』してやろう」
 凛の眼光が、鈍い光を放つ。完全に”ヤる”という目をしていた。
「ちょっ、悪質な誘導尋問でしょアレは―――!スゴイ理不尽ッ。いやぁ―――!」
「案ずるな。タマタマがない生活も、タマにはいいものだぞ(どや)」
「うまくねぇーーっ!どや顔して言ってるけど、下ネタですからね、それ!」
 凛がヒューケインをふん縛り、”アレ”を切ろうとしたその時。
ミミリがとてとてと二人の間に割って入り、きょとんとして驚きの声をあげた。
「えぇっ…?凛さんって熟女だったんですかぁ〜!?」
 凛が刀を手放してズッコケた。
 ミミリは、体をウネウネとくねらせ、汚物を見るような目で言う。
「いやだぁ―…ヒューケインさん…。ロリな上に熟女趣味で、近親趣味なシスコンだなんて―…。げぇー、気持ち悪いですぅ――」
「おいっ…」
 結局、ヒューケインは全部のレッテルを貼られた。
 明日からは『ロリで熟女趣味で、近親趣味のシスコン野郎』の称号を持つ男と学園新聞に書かれ、皆からそう呼ばれることになるだろう。
「それに凛さん。熟女なのに、無理して若作りするのはどうかと思いますよ」
 グサッ!
 凛のハ―トに、無垢で残酷な言葉の矢がブスリと刺さった。
「年甲斐もなくそんな大胆な水着きて、恥ずかしくないんですか?」
 グサ、グサッ!!