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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガールEp:1 まとめ

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3.



 爆発したシャトルから放り出されて宇宙を漂流していたミミリは、民間の貨物船に救助された。船のドライバ―に聞くと、会社に帰る途中だと言うので、そこで構わないと答えた。
 
 ――もっと、しっかり考えておけばよかった。
 貨物船に乗って到着したのは、プランタリアとは全く正反対の位置にある、星系内最遠の惑星<テータ・ヘカテ>の衛星軌道上に浮かぶコロニ―、<ハナキリン>だった。
 ミミリは途方にくれた。
 通信端末も無い。お金もない。プランタリアに連絡も付けられず、帰る手段もない。
 路銀を稼ぐため仕事を見つけようとしたものの、やはり世の中そんなに甘くはない。
 片っぱしから断られ、とうとう空腹のあまり行き倒れてしまった。

「お嬢ちゃん!お嬢ちゃん!大丈夫かい!?」
「あ…ア…。だめ…れす…。お腹、ぐ…ぐる…ぐ…ぅ。ガクッ」
「あぁッ!?ちょっと、しっかりおし。…ったく、しょうがないねぇ」
 そこに通りがかったのが、オハナ・ミナミという中年の女性。
 彼女は、このコロニ―の繁華街で安宿を経営する女将だった。

「このメモの場所にいってきな。話はつけてあるからさ」
「はぁ…。どうも…です」
 オハナの伝手で、ミミリは運送会社の倉庫整理の仕事を紹介してもらった。
 ようやく仕事に有りつけた。これで、シャトルに乗る元手を稼ぐことができる。
 ――しかし。と、ミミリは思う。
(今回は、運良く仕事にありつけたけど、このままじゃ駄目だなぁ…。なんとか、しないと…)
 ミミリは、仕事をもらうためには自分を売り込むト―クスキルや交渉術を身につける必要があると感じた。それからという物、稼いだお金で、交渉術やビジネスト―クについて詳しく書かれた新書を購入し、勉強に励んだ。
 実践と学習の場は身近にあった。仕事場などで人とのコミュニケーションを通し、本で得た知識を実践しスキルを磨いた。
 それからはとんとん拍子に事が進んだ。
 勉強し、トークスキルを身につけた甲斐もあって、仕事をもらうのに苦労はしなくなった。
(よし、お金に余裕も出てきた。これなら――)
 新しく行動を起こそうとミミリは思い立つ。
 各地のコロニ―でバイトをしつつ路銀を稼ぎ、プランタリアを目指そうと考えたのだ。

――旅立ちの日。
「オハナさん、どうもありがとうございました。貴方が居なかったら、私死んでいたかもしれません」
「ははは。大げさだねぇ、この子は」
「これと言ってご恩返しも出来ないのが、心残りですが…」
「いいんだよ。嬢ちゃんは、マジェスターなんだろ?私たちを守ってくれればそれが一番の恩返しさ。それに、ちゃんと宿代も払ってくれたしね」
「えへへ。そう言ってもらえると助かります」
「がんばってね」
「はい。私、立派なマジェスターになって見せます!」
「ああ、嬢ちゃんならできるさ。じゃぁね、旅の無事を祈っているよ」
「はい!では、オハナさん。本当にありがとうございました!さようなら、行ってきます!」

 ミミリの胸の中は、幸せな気持ちと新しい旅路への期待でいっぱいだった。
『プランタリアへ帰るんだ』
 それが、彼女の行動を継続的に支えるモチベ―ションであった。