マジェスティック・ガールEp:1 まとめ
4.
「ちょっといいかな?」
ある日、あるコロニ―で、黒いス―ツを着た大人達に声をかけられた。
ミミリは思い出した。
『コロニ―じゃぁ、マフィアが小さい子どもをさらってよからぬ仕事をさせている』――という噂を、大人たちが話しているのを。
「あっ…ちょっとまって…」と黒いスーツ達が言うのも聞かず、ミミリは駆け出していた。
しばらくスーツ達は追いかけてきたが、マジェスターであるミミリの脚力は凄まじく、あっという間に彼らを煙に巻いてしまった。
(ひぇぇ…こわいよぅ――!)
彼らがそのマフィアであるという確証はなかったが、ミミリは怖くなって一目散に逃げ出してしまったのである。
以後、同じような連中には近づかないよう、見かけたらすぐに逃げようとミミリは心がけた。
超人的な身体能力を誇るマジェスターのくせに、ミミリは恐がりなのだ。
その後も、旅は続いた。
路銀が貯まったらシャトル便に乗り、お金を使いきらない程度に残す。
そうして所持金に余裕を持たせつつ、プランタリアに少しでも近いコロニ―や小惑星都市へと向かう。
どこの土地でもやることは変わらない。
一日中働いて、帰ってきたら宿でシャワ―を浴びて、ご飯を食べて泥のように眠る。
毎日その繰り返し。
シャトルに乗るお金が貯まったら、また別のコロニ―へ。
またそこで仕事をして、シャトルに乗り――と、そんな地道なことを繰り返した。
そんなこんなで気がつけば、結果として、一年近い長旅になっていた。
作品名:マジェスティック・ガールEp:1 まとめ 作家名:ミムロ コトナリ