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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガールEp:1 まとめ

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三章:久しぶりだね―Reunion―



<1.>

 ミミリ・N・フリ―ジアは、死に直面するほどのバッドエンドに見舞われようとも、そこから窮地を脱し、たまたま偶然にも生き残ってしまうほどの、性悪な悪運の持ち主である。
 例え、(というか、もう既に遭っているのだが)シャトルの爆発事故に遭って、宇宙に身一つで放り出されて漂流しようが、それは異常な非日常ではない。ミミリにとっては日常的な異常なのだ。
 この程度の異常<イレギュラ―>など、底なしの悪運<バッドラック>の強さを誇るミミリにとってはもはや”起こって当たり前”というレベルの些細な日常の一部でしかない。

 『ネガティブな時にこそ、ポジティブに笑顔』

 今は亡き、母フィオネリアの口癖。ミミリが金科玉条としている心掛けでもある。
 不運なミミリが、挫けずポジティブに振る舞えるのも、その御蔭。
 辛いことがあっても、過去何度も命に関わる窮地に立たされようとも、結果として困難を乗り越えてきたという実績があればこそだった。
 ただし、今回に至ってはとうとう年貢の納め時かもしれない。
 シャトルの爆発時、爆風の慣性でかなりの距離を飛ばされたはずだ。旅客機会社の探索隊がシャトルの爆発地点へと辿りつく頃には、自分はそこから数千キロのとうの彼方だろう。広大な宇宙空間の中、人一人を見つけ出すのは砂場に落とした砂糖粒一つを見つけ出すよりも難しい。
 先刻まで作動していた遭難者追跡用の発信ビ―コンも、電装系が故障を起こしてしまい、最早その役目を果たしていない。酸素は自前で生産できるものの、バックパックに収納された非常用の食料は49日程度。救援隊が来るまでの時間を逆算すれば本来は充分に耐えうる量ではあるが、あてどない宇宙遊泳をするには心もとない。
 AQUA―Sは、ナノマシンの自動修復機能のお蔭でノ―メンテで一年以上稼働できるが、これではス―ツの耐用限界が来る前に栄養失調で死んでしまう。
 そして今は、その運命の四十九日目であった。
 
 ミミリは、この宇宙漂流の発端となった出来事。
 一年前に起きたシャトル爆弾テロ事件を思い出していた。