マジェスティック・ガールEp:1 まとめ
意地悪だったジェニ―やジェイミ―も、あの一件で少しは懲りたのか、ミミリに畏怖を感じているのか、だいぶ柔和な態度で接してくる様になった。同年代の友達もいくらか出来た。彼女はとうとう、誰の手も借りず自分の手で、他者に脅かされない立場と権利を掴み取ったのだ。
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その月に来た叔父からの手紙には、今まで延ばし延ばしにしていた養子縁組の答えを聞かせて欲しいと書いてあった。
毎月送られてくる叔父の手紙には大変励まされた。今、自分があるのも叔父のお陰と言える。
(叔父様…)
――そうなのだ。もはや、考えるまでもない。
ミミリの答えは、既に決まっていた。
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教育施設を卒業し、プランタリアへと渡る運命のその日。
『タンポポ叔父さん』が迎えに来た。
その日、ガ―デン808の校内駐車場には、白い車が停まっていた。ひと目で見て、そうおいそれとは庶民が手に出来ない高級車と言う風情の車が。
普段、子供たちの前では支配者を気取り、威圧的な態度を取っていた教官達が、その日に限って、掌を返した様にヘコヘコしていたのを覚えている。
ミミリを疎んじていた生徒達も、目を丸くして驚いていた。
「さぁ、行こうか。ミミリ」
「はい。叔父様」
吹き抜け状になっている寮舎のエントランスホ―ルを、純白のドレスを身に纏い厳かに歩くミミリと、同じく白いス―ツを着こなし彼女の手を引くユリウスの姿があった。
どこからか、嘆息の声や、賞賛の声が聞こえた。皆、二人の姿に釘つけだった。
『タンポポ叔父さん』こと、ユリウス・ダンデライオンの正体。
彼はなんと、プランタリアの学園長だった。
プランタリアは連邦政府安全保障省管轄の学園都市コロニ―。
そこの学園長ともなれば、連邦政府の長官職と同等の権限を持つ国家の重役という訳だ。
ユリウスは、学園長就任以前は連邦政府軍の兵器受注を一手に担うアイテックス(I―tex)・インダストリ―グル―プの代表取締役兼会長を務めた経済界の貴公子だった。
マジェスター教育士官学校プランタリアへの入学を機に、ミミリは学園長である叔父ユリウスの養子となった。叔父はミミリを我が子のように扱い、大切にしてくれた。
四年間の苦難の日々を乗り越えたミミリは、ようやく幸せと平穏な日常をその手に取り戻したのだ。
――かのように思えた。
作品名:マジェスティック・ガールEp:1 まとめ 作家名:ミムロ コトナリ