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ミムロ コトナリ
ミムロ コトナリ
novelistID. 12426
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マジェスティック・ガールEp:1 まとめ

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「はい。規範と規則には厳しい人ですけど、それ以外にはうるさく言うこともありませんし。読書が趣味の至って温和な人なんですよ、実は」
「へぇ、そうなんだ、意外ね。どんな本読むの?」
 ナズナは、毒気が抜かれたような表情で言った。幾ばくか、深冬に対する誤解が払拭されたようにも感じる。
「はい。昨日は『心を鋭く抉りへし折るセリフ五千選』『絶対服従の指導術』『NOと黙秘を許さない尋問テクニック』と言った本を読んでいました」
「…やっぱり、おっかない人だわ…」
 顔を青ざめさせて、ガクガクと身震いするナズナ。が、気を取り直して。
「ま、あの人が厳しく目を光らせているお陰で抑止力になってるんじゃない。ミミリに対して陰湿な嫌がらせをする連中への。実は、あなたを守る為にやってることなのかもね?」
「あ…」
 なるほど。それは思いもよらなかった。

   ◆

 ガ―デン808に来てから、初めて迎える冬。
 あと一月もすればミミリも五期生になる。
 その日、一日の教練が終わり、部屋に戻ってくると深冬がトランクに衣類や私物を詰めている所に出くわした。
「班長。どうしたんですか、その荷物」
「ああ、お帰りなさい。貴方には言ってなかったわね。私、今日でここを出るの」
「卒業を待たずに…ですか」
「ええ。後で言うつもりだったけど、<M研>の武器開発部門で兵器開発に協力することになったの。テスタ―としてね」
「そうなんですか」
 寂しそうにしょぼくれるミミリ。そんな彼女の頭を深冬はそっと優しく撫でる。
「そう悲しそうにしないで。プランタリアに行けば、また会える時もあるでしょう。それまで暫しのお別れよ」
「ですよね。そう…ですよね。はい、向こうでまたお会いしましょう」
 
 その日の夜。
 ミミリの下のベッドにあるのは、丁寧に畳まれた毛布とシ―ツだけ。
 時たま部屋に忍び込んでいた男も、その日を堺にして来ることはなくなっていた。