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看護師の不思議な体験談 其の十四

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 しばらくし、Bさんが児に会いたいと言われた。
 白い棺をお運びし、児と対面するBさん。
 片手大の赤黒い児を見た瞬間。
「う、うぅ、あああっ…」
 目を背け、自分の顔を両手で覆って嗚咽。
 Bさんの夫も、直視できないようだった。
 どれくらい経過したか、ひとしきり涙を流した後。Bさんは口を開いた。
「杉川さん、私、また次も流産するんでしょうか、死産になっちゃうんでしょうか。元気な子を産むことはできないんでしょうか。何がいけなかったのか、分からないんです。どう生活すれば、死なないんですか。」
「Bさん…」
「他の子はあんなに元気に泣いてるのに。」
 産後の患者さんとは部屋を離しているが、やっぱり泣き声は聞こえてしまう。
 旦那さんが、Bさんの背中をさする。
 沈黙。
「また次も死産だったら、私…。」
 Bさんの手をぎゅっと握る。
「Bさん。…Bさんが今すべきことは、この赤ちゃんに触れてあげることだと、思います。」
「えっ…。」
 言葉を選びながら、私はゆっくりと話した。
「次の妊娠のことを心配する気持ちはよく分かります…。今回のことも、何が原因だったのか気になることだと思います。ただ、それらは、いくら考えても答えはなかなか出ません。」
 Bさんは、じっと私の目を見つめる。
 ここで間違えた言葉を発してしまうと、患者さんの心に一生ぬぐえない傷を作ってしまうことになる。緊張して手が震える…。
 でも、ちゃんと伝えなければ。