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看護師の不思議な体験談 其の十四

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 しかし、直径1cmもない胎児の首がその処置に耐えられるわけもなく。
―プチッ―
 小さな音と衝撃が、体幹を支える私の手に響いた。
(ああ…)
 私と医師は同じ気持ちだった。
 重力とともにずるりと私の手のひらに胎児が落ちてくる。私の手のひらには頭部の無い胎児が乗っていた。とても小さく、ちょうど片手分の大きさだ。
 まずはゆっくりとその体をガーゼの上に乗せる。間接介助についていた同僚も、眉を寄せ、『ああ』という表情をしていた。
 その後もまだ、陣痛は収まらない。母親の体は、とにかく子宮内のものすべてを押し出そうとしている。その力に合わせて、医師がカンシという器具でなんとか頭部と胎盤を娩出させた。目鼻口もくっきりしている頭部がコロンと、ガーゼの上に乗せられた。
「赤ちゃん、出てきましたからね。」
 そう言うと、両親は嗚咽を漏らしながら涙を流した。