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看護師の不思議な体験談 其の十四

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 Bさんのもとへ再び訪室する。
「少しずつ、生理痛みたいな痛みが出てきました。」
 強張るBさんの表情。
 まだ胎内死亡という状況を受け入れ仕切れていない中、物事はどんどん進んで行っている。その現実になかなかついていけていない、という感じだった。
 何も言わず、Bさんの手を握り、腰を落としてBさんのそばにしばらく居ることにした。
 ポツリポツリと、Bさんと会話をしている最中だった。何回か陣痛様の痛みが来たあとに、Bさんがひどく驚いた顔をした。
「破水したかも…」
 Bさんは、突然の出来事に動けなくなってしまっていた。
(予測より、進行が早いかも。)
「Bさん、診察しましょうね。進行状況によっては、そろそろ処置の準備をしていくことになると思います…。」
 私の言葉の意味を、理解し、Bさんは夫の顔を見たあと、ぎゅっと目を閉じた。

 診察用の手袋をし、膣内の診察をすると、明らかな破水とともに異物が指先に触れた。
(これは胎児の足、かな…)
 自分の指先の感触を頼りに、どの向きで胎児が下降しているかを判断する。
(まずいな…)
 頭部からの娩出だと、体幹や手足はすんなり出てきやすい。しかし、手足から先に出始めてしまうと、一番大きな頭部の部分で引っかかって娩出困難となってしまう。
 破水とともに陣痛も強くなり、胎児を娩出しようとする力はみるみる大きくなっている。迷っている時間はなく、分娩室へBさんとその夫を案内した。